連載 介護することば 介護するからだ 細馬先生の観察日記・第25回
聞こえにくさから始める
細馬 宏通
1
1滋賀県立大学人間文化学部
pp.664-665
発行日 2013年8月15日
Published Date 2013/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1688102574
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開所して間もないグループホームにおじゃました。開放的なつくりだ。リビングと食堂の間に壁はなく、キッチンは食堂のほうに向いたカウンター方式なので、調理をしながらリビングや食堂の様子を見ることができる。必要に応じて、これらの間をパーティションで区切ることもできる。
午後3時半、入浴もひととおり終わって、入居者のみなさんはその広々としたリビングでテレビを視ておられた。それは最近の「地下アイドル」の様子を報じる番組で、へえ、こんなにぎやかな芸能界の話を見るのか、とちょっと驚いた。私もその一角でしばらく見ていたのだが、せっかく来たのでお話でもしようかと、右後方に座っている1人の男性のほうに振り向いた。
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