胃と腸 47巻8号 (2012年7月)

今月の主題 胃ポリープの意義と鑑別

序説

胃ポリープの意義と鑑別 春間 賢
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はじめに

 胃ポリープは胃内腔に突出した隆起性病変を意味し,一般的には良性の上皮性非腫瘍性病変に対して用いられる病名である.多くは胃腺の過形成による過形成性ポリープで,以前は腺窩上皮の過形成による過形成性ポリープが多く認められたが,最近では,胃底腺の囊胞状拡張を主体とする胃底腺ポリープの頻度が増加している.胃内にポリープが多発するときは,家族性大腸腺腫症,Peutz-Jeghers症候群,Cronkhite-Canada症候群などの消化管ポリポーシスの可能性があることは,古くから知られている.

 腺窩上皮性過形成性ポリープ(以下,過形成性ポリープ)は萎縮性胃炎を母地として発生し,大きい場合は癌化やポリープ内に癌が併存する可能性があり,内視鏡的ポリペクトミーなどの治療対象となることがあるが,多くは良性で経過観察となることが多い.最近ではHelicobacter pylori(H. pylori)感染による胃炎を背景にポリープが発生すること,H. pyloriの除菌により,ポリープが消失や退縮することも知られている1)

 一方,胃底腺ポリープはH. pylori非感染の,胃炎や萎縮のない胃粘膜に発生しており2),診断されても胃癌発生の低リスク群として,放置されるか経過観察になっている.しかしながら,胃底腺ポリープは家族性大腸腺腫症の胃病変であることがあり,多発する場合は大腸病変にも注意する必要がある.また,最近,胃底腺ポリープに腺腫を合併した症例や,家族性大腸腺腫症に伴う胃底腺ポリープの癌化例,遺伝子異常が報告されるようになった3)

 また,過形成性ポリープと胃底腺ポリープは,プロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)の長期投与により発生すること4),胃腫瘍に対する内視鏡的粘膜切除術後の瘢痕部に発生することが知られており,ポリープ発生の病態も変わりつつある.さらに,逆流性食道炎やBarrett腺癌が増加し,注目されるようになると,食道胃接合部に発生するポリープも,逆流性食道炎との関係,Barrett腺癌との鑑別病変として注目されている.

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要旨 胃のポリープの頻度は0.6~3%程度と報告されている.非腫瘍性上皮性ポリープのうち最も頻度が高いのは過形成ポリープで,次いで胃底腺ポリープである.そのほかにまれなものでhamartomatous inverted polyp,特殊なもので内視鏡治療後のポリープや残胃吻合部のポリープなどがある.そのほとんどは良性であるが,一部は悪性化するものも存在する.それらの取り扱いを考慮するうえで,癌化の危険性や癌化例の特徴を含めた臨床病理学的特徴を把握しておくことが重要である.

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要旨 胃隆起性病変の鑑別診断は,内視鏡所見をもとにしたアルゴリズムに従って行う.病変をみてすぐに疾患名を考えるのではなく,それぞれの分岐点でポイントとなる所見に注目して鑑別すると,理論的に読影することができる.隆起性病変を認めたら,“表面の性状”と“立ち上がりの所見”より,まず上皮性病変か非上皮性病変かを鑑別する.上皮性病変と判断したら,次に“形状”と“色調”より腫瘍性か非腫瘍性かを区別する.さらに上皮性腫瘍性病変と判断したら,病変の“大きさ”と“色調”によって癌と腺腫を鑑別する.上皮性非腫瘍性病変には,過形成性ポリープと胃底腺ポリープのほか,消化管ポリポーシスに伴う胃病変などがあるが,鑑別は比較的容易である.一方,非上皮性病変は病変の“大きさ”,“形状”,および“潰瘍形成の有無”によって良悪性を鑑別する.一部の胃癌は,例外的に粘膜下腫瘍様の形態を示す場合がある.

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要旨 NBI拡大内視鏡観察を行い,生検またはEMRを行った胃ポリープ113例の表面構造とその背景粘膜をfoveola typeとgroove typeに分類し,その関連を検討した.ポリープと背景粘膜の表面構造の一致率は,胃底腺ポリープで94%(16/17例),過形成性ポリープで94%(34/36例)と高率に一致していた.胃ポリープのNBI拡大観察において,背景粘膜に萎縮がなく整った小型円形の腺開口部を認め,ポリープも同様の表面構造であった場合,94%が胃底腺ポリープであった.また,萎縮のある背景粘膜で,ポリープと背景粘膜の表面構造が同様のtypeで,かつポリープの表面に窩間部の開大を認めた場合,94%と高い確率で過形成性ポリープであった.

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要旨 胃腺窩上皮型過形成性ポリープの罹患頻度は2%程度とまれではあるが,日常診療では少なからず遭遇する疾患である.内視鏡所見としては“腐れ苺”様と称されるように,発赤調の限局性隆起病変で,表面にはびらんや白苔を伴うこともある.背景粘膜は通常萎縮が強い.病理学的所見としては胃腺窩上皮の過形成と粘膜固有層の強い炎症と浮腫が特徴とされ,炎症性ポリープの所見を呈している.また,自然退縮や消失することはほとんどなく,癌化の頻度は平均2.2(0~9.7)%と報告されている.また,H. pylori感染は76~100%と高率であり,除菌治療の適応となる.なお,除菌成功後に消失しないものは高ガストリン血症が持続しているものが多く,過形成性ポリープの発育に対してガストリンの関与が示唆される.

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要旨 胃底腺ポリープは胃底腺領域に発生し,組織学的には胃底腺組織の過形成,囊胞状拡張腺管を特徴とする隆起性病変であり,自覚症状を有さない比較的若年の女性で胃検診異常にて偶然に発見されることが多い.このポリープはH. pylori感染陰性で組織学的に胃粘膜萎縮や炎症細胞浸潤を認めない粘膜から発生する,すなわち胃癌と全く異なる背景胃粘膜を有するため,胃癌発生における低危険群の疾患と考えられている.一方,家族性大腸腺腫症に伴う胃病変として胃底腺ポリポーシス,胃癌,胃腺腫が知られており,近年,胃底腺ポリポーシスを背景とした腫瘍化の報告例も散見される.家族性大腸腺腫症に伴う胃底腺ポリポーシスは腺腫や癌の発生母地となる可能性も考慮して定期的な経過観察を行う必要がある.近年,プロトンポンプ阻害薬の長期投与により,新たに胃底腺ポリープが発生することや増大することが報告され,今後,胃底腺ポリープを診断する頻度は増えることが予想される.

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要旨 胃腫瘍を切除するためのEMRやESDによって生じた人工的潰瘍の治癒経過に潰瘍部に生じる隆起性病変(瘢痕部ポリープ)は,原疾患の再発との鑑別を要するため重要な問題である.香川県立中央病院にてESDを施行し術後2か月間PPIにて切除後潰瘍治療が行われた連続する77患者(男性57例,女性20例,平均年齢69.9歳)の77病変(胃癌57病変,その他20病変)を解析し,ESDに関連した瘢痕部ポリープの特徴を検討した.77病変の平均サイズは20.5±11.3mmで,U領域が17病変,M領域が34病変,L領域が26病変であり,切除切片の平均サイズは36.9±11.5mmであり,切除後2か月目に瘢痕部ポリープを16例(20.8%)に認めた.瘢痕部ポリープの有無にかかわる因子としては,原疾患の存在部位のみが有意な因子であり(p=0.018),L領域は,U領域より有意に瘢痕部ポリープの割合が高く(p=0.04),M領域よりも高い傾向にあった.瘢痕部ポリープの生検の病理所見は,上皮としては腺窩上皮の過形成を認めるが,間質は活動性の炎症や線維化を認める肉芽様変化であった.瘢痕部ポリープを生じた16例のうち,すべての抗潰瘍剤を中止後,14例の病変は半年後に平坦化した.増大する瘢痕部ポリープを認めた症例はH. pylori除菌療法を施行され,病変のサイズは縮小したが隆起は4年間残存した.EMRあるいはESD後の瘢痕部ポリープは,潰瘍底の肉芽組織による隆起が発端であり,蠕動運動の影響により隆起が著明となる.さらに,H. pylori感染に関連した胃酸分泌の低下あるいは酸分泌抑制剤によって生じる高ガストリン血症によってもたらされる粘膜上皮の過形成を伴うと推察される.

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要旨 食道胃接合部に生じた炎症性隆起性病変30例について内視鏡所見を中心に臨床病理学的検討を行った.腺窩上皮型では内視鏡的形態は山田分類のIないしII型,色調は発赤調でヨード不染を呈することが多く診断は容易である.また胃側から連続する腫大皺襞を伴うことが多い.一方,扁平上皮型ではIII型が多く,色調は褪色ないし混合型(白色と赤色から成る)で,ヨード染色では混在型(不染部と濃染部から成る)を呈した.扁平上皮型では上皮や間質に反応性の強い異型を認める場合がまれならずあり,悪性疾患との鑑別を要した.生検での誤診を回避するには本疾患の臨床病理学的特徴を臨床側,病理側の双方が共有する必要がある.治療は酸分泌抑制剤にて改善,消失することが多いが,組織学的に確定診断がつかない場合には内視鏡切除標本での確実な評価が望ましい.

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要旨 消化管ポリポーシスにおける胃病変の臨床的意義を明らかにするため,既知の消化管ポリポーシスおよび最近疾患概念が提唱された家族性胃底腺ポリポーシス(FFGP)の胃病変の頻度と経過を遡及的に検討した.対象は家族性大腸腺腫症(FAP)122例,MUTYH関連大腸腺腫症(MAP)3例,Peutz-Jeghers症候群(PJS)18例,若年性ポリポーシス(JP)6例,Cowden病(CD)9例,FFGP 10例,Cronkhite-Canada症候群(CCS)7例の計175例であった.各疾患群における胃病変陽性率と胃癌発生率は,FAPで73%および8%,MAPで33%および33%,PJSで72%および17%,JPで67%および33%,CDで78%および0%,FFGPで100%および30%,CCSで100%および0%であった.以上より,消化管ポリポーシスでは胃病変が高率に発生することが確認された.また,FAP,MAP,PJS,JP,および新たな疾患であるFFGPは胃癌の高危険群であると結論した.

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要旨 45歳,男性.非びらん性胃食道逆流症に対しランソプラゾール30mg内服15か月後,5mmの胃底腺ポリープ(FGP)を認め,さらに2年後10mmと増大,生検で表層にdysplasiaを認め,内視鏡的粘膜切除術を施行した.病理検査でdysplasia部はKi-67(+)細胞が増加,p53(+)細胞が散見,β-cateninは細胞膜のみ染色され,MUC5AC(+)細胞が主となりMUC6(+),MUC2(-),CD10(-)で胃腺窩上皮型の形質を示した.大腸ポリープを認めず,家族歴もないため,家族性大腸腺腫症は否定的であった.プロトンポンプ阻害薬関連FGP内にdysplasiaを認める症例が存在することを示した.

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要旨 患者は60歳代,男性.2年前より他施設で胃ポリープを指摘されていたが,胃X線検診で異常を指摘され受診した.上部消化管内視鏡検査では,胃体上部前壁に発赤調で約10mm大の山田III型の隆起性病変を認めた.表面は,不均一な顆粒状~乳頭状構造を呈しており,背景粘膜は萎縮のない胃底腺領域で,H. pylori抗体は陰性であった.生検診断は胃型腺腫であったが,不整な表面構造から早期胃癌が疑われたため,内視鏡的粘膜切除術を行った.病理組織診断は,大小腺管状の異型度の低い胃型の高分化型管状腺癌であった.萎縮のない背景粘膜に発生したポリープの診断では,胃型の隆起型胃癌も念頭に置いて行う必要がある.

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要旨 患者は70歳代,女性.スクリーニング目的に大腸内視鏡検査を施行された.通常内視鏡観察で下部直腸にIIa+IIc病変を認め皺襞集中像を伴っていた.拡大観察ではIIa部にIIIL型pit patternがみられ,IIc部にはVI型高度不整pit patternや点状模様所見がみられSM深部浸潤癌と診断した.術前生検では小型細胞が胞巣状に増生し低分化腺癌の所見であった.腹会陰式直腸切断術が施行され,病理所見ではIIa部は高分化管状腺癌でIIc部は低分化腺癌であった.深達度は低分化腺癌の領域も含めて大部分がpMでわずかな領域にpSM微小浸潤(350μm)を認めるのみであった.粘膜下層には高度な線維化を認めひだ集中の原因と考えられた.大腸低分化腺癌の初期像,診断において示唆に富む症例と考え報告する.

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要旨 浸潤性微小乳頭癌(invasive micropapillary carcinoma ; IMPC)の組織像を示す原発性早期大腸癌を経験したので報告する.患者は40歳,男性,自覚症状なし.人間ドックで施行された大腸内視鏡検査にて上行結腸に10mmのSMT様の隆起性病変を指摘された.頂部には陥凹を認め,拡大内視鏡では陥凹部においてSM高度浸潤の所見であった.生検で低分化腺癌と診断され,腹腔鏡補助下右半結腸切除術が施行された.組織学的にはリンパ管様の空隙内に微小乳頭状の癌胞巣が存在する特徴的な像を認めた.免疫染色ではEMA(epithelial membrane antigen)が微小乳頭状癌胞巣の管腔側表面で陽性となり,IMPCに特徴的なinside-out patternを呈した.IMPCは高頻度にリンパ管侵襲・リンパ節転移を来す予後不良な癌腫として注目されているが,本症例は術後1年再発を認めていない.

胃と腸 図譜

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1概念,病態

 小腸angioectasiaはしばしば原因不明の消化管出血(obscure gastrointestinal bleeding ; OGIB)の原因疾患として,近年カプセル内視鏡・バルーン内視鏡で発見される機会が増加している.angioectasiaとは一般に内弾性板をもたない毛細血管・静脈性の薄い血管壁からなる異常血管が屈曲蛇行した病態とされている.

 これらの消化管血管性病変の名称についてはangiodysplasia,angiectasia,angioectasia,vascular ectasia,telangiectasiaなど様々な用語があるが,その使われ方には混乱がみられる.分類についても現在統一されたものはないが,小腸の血管性病変については,矢野・山本ら1)2)による内視鏡的分類が臨床上有用である.

画像診断道場

上皮下浸潤癌 川久保 博文
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症 例

 患 者 : 50歳代,男性.

 主 訴 : 自覚症状なし(アルコール依存症上部消化管スクリーニング).

 既往歴 : アルコール依存症.

 現病歴 : 久里浜アルコール症センターのスクリーニング内視鏡検査で食道表在癌,下咽頭表在癌,早期直腸癌が発見され,当院へ紹介となった.

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 私の思い出深い1冊を紹介したい.私が1984年に医学部を卒業し,2年間の内科研修を終えて北九州で後期研修をしていた頃,潰瘍性大腸炎の癌化が本邦でも話題になり始めていた.同時に,大腸にも胃と同様に平坦陥凹型腫瘍が存在するという衝撃的な報告が始まった頃で,これからは大腸の時代が来ると言われていた.平坦陥凹型大腸腫瘍の存在とその診断学を発展させられたのは,当時秋田赤十字病院におられた工藤進英先生(現 昭和大学横浜市北部病院 教授)で,まだファイバースコープの時代で前処置も悪く,1人法の大腸内視鏡挿入手技が一般化していなかった.“大腸IIc”が学会で活発に議論される時代の幕開けの頃,1989年に広島大学第一内科に帰学し,研究室の上司(隅井浩治先生)から「田中先生は大腸に興味があるようだから,大腸腫瘍の集計をしなさい」と,大腸をテーマにいただいたのが今の自分が存在するきっかけである.そして,「秋田に大腸IIcという病変があるみたいなので,大腸内視鏡挿入手技も含めて工藤進英先生のところに見学に行って来なさい」と言われ,短期ではあるが,1990年に秋田赤十字病院へ研修に行かせていただいた.当時は,工藤進英先生の神業的大腸内視鏡挿入手技をレクチャースコープで1人ずつ見学させていただいたものであるが,スコープの挿入と引き抜きのあまりの速さに驚嘆した.私が,「どうしてこのような速い操作で大腸IIcが見つかるのですか」と質問したところ,工藤進英先生は,「田中先生,高校生にはプロのピッチャーのボールは見えないだろうけど,川上哲治にはボールが止まって見える.それと同じだよ」と言われ,妙に納得したのを鮮明に覚えている.実際工藤進英先生は,非常に速い内視鏡操作で大腸IIcを沢山発見し報告されていたので,疑う余地もなかった.そのとき,秋田赤十字病院にたまたま本号が届き,それをめくりながら工藤進英先生に詳細に大腸IIcの解説をしていただいたことを鮮明に思い出す.

 現在では,学生の教科書にさえ,大腸IIcが当たり前のように記載されているが,当時は“幻の病変”といわれており,大腸IIcを何例もっているかが大腸内視鏡医のステータスでもあった.今,本誌を見直してみると,大腸IIcの本体が明らかでないあの黎明期に,内視鏡所見,実体顕微鏡所見,注腸X線所見,病理所見などが多くの先生によって詳細に解析され,立派な論文として記述されている.当時,腺腫と癌の組織診断基準に関する激しい議論,adenoma-carcinoma sequenceとde novo発癌,あるいは,ポリープと平坦陥凹型腫瘍のどちらが大腸癌のメインルートなのかなど,多くの話題を活発に討論したものである.この中には,いまだ解決されていないものもあるが,現在,学問は進歩し,serrated pathwayなどの新たな発癌経路やSM癌の取り扱い,実体顕微鏡観察から発展したpit pattern診断学のみならず,NBI/FICE(narrow band imaging/flexible spectral imaging color enhancement)などの画像強調観察,さらには,endocytoscopy,molecular endoscopy,大腸カプセル内視鏡など,新たな病態や技術が論じられている.この新たな展開の中で本誌を熟読し,原点を再認識することが今後の研究に役立つと思うのは,私だけであろうか.

早期胃癌研究会

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 2011年11月の早期胃癌研究会は11月16日(水)に笹川記念会館国際会議場で開催された.司会は大川清孝(大阪市立十三市民病院消化器内科)と平澤大(仙台市医療センター仙台オープン病院消化器内科),病理は味岡洋一(新潟大学大学院分子・診断病理学)が担当した.また,第17回白壁賞は八尾建史(福岡大学筑紫病院内視鏡部),第36回村上記念「胃と腸」賞は江頭由太郎(大阪医科大学病理学)が受賞され,表彰式と受賞講演が行われた.

学会印象記

第8回日本消化管学会総会 平澤 大
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 未曾有の大震災から11か月が経過した.津波被害のあった沿岸部の復興はいまだ遅々として難題が山積みであるが,仙台の市街地は復興需要も相俟って活気に包まれている.そんな仙台市に於いて,2012年2月10~11日の2日間,第8回日本消化管学会総会学術集会が開催された.本郷道夫会長(東北大学病院総合診療部)のもと,“消化管学不楽是如何─Why not enjoy the World of Gastroenterology!”をテーマに,2施設8会場で多岐にわたるテーマ,多数の企画が行われた.

 雪の舞う厳しい冷え込みの中での開会であった.学会1日目の午前は消化管学会恒例の「症例検討セッション─下部消化管」を拝聴した.アンサーパッドを用いて会場参加者も討論に加わる形式の進行である.最初にコメンテーターによる洗練された読影がなされ,診断へ至る論理が示された.さらに病理コメンテーターや司会,会場も加わった議論がなされ,症例ごとに大いに盛り上がった.議論の中で多くの知見が紹介され,大変勉強になる,興味深いセッションであった.

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 第98回日本消化器病学会総会は2012年4月19日から21日までの間,学会長である菅野健太郎先生(自治医科大学消化器内科)主催のもと,“トランスサイエンス時代の消化器病学”をメインテーマとして,東京の京王プラザホテルで開催された.

 主題はいずれもメインテーマに即して興味深いものが多くみられた.初日の午後に開催されたワークショップ1「栄養代謝制御における消化管生理活性ペプチドの役割」では,事前の打ち合わせにおいて,司会の屋嘉比康治先生(埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科)・乾明夫先生(鹿児島大学社会・行動医学講座心身内科学分野)から「ワークショップであるから,各自,思い切った自分の意見とアピールを」との会へのご要望があり,このため多くの質問にあふれた活気にみちたワークショップとなった.興味深いところでは,性差や加齢,Helicobacter pylori感染のグレリンへの影響や,病的肥満に対する外科的加療と消化管ホルモンへの影響などに関して詳細な検討がなされていた.本邦でも先進医療として承認された腹腔鏡下胃袖状切除術は,グレリンを抑制するだけではなく,術後のインクレチン(GLP-1)を著明に上昇させており,術後,耐糖能異常が改善されているため,今後有用な治療法の一つになると考えられた.

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欧文目次

「今月の症例」症例募集
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 「今月の症例」欄はX線,内視鏡写真など形態学的所見が読めるようにきちんと撮影されている症例の掲載を目的としています.珍しい症例はもちろん,ありふれた疾患でも結構ですから,見ただけで日常診療の糧となるような症例をご投稿ください.

早期胃癌研究会 症例募集
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早期胃癌研究会では検討症例を募集しています.

画像のきれいな症例で,

・比較的まれな症例,鑑別が困難な症例.

・典型例だが読影の勉強になる症例.

・診断がよくわからない症例.

学会・研究会ご案内

投稿規定

編集後記 赤松 泰次
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 胃ポリープとは胃に発生する上皮性隆起性病変を指し,古くからその意義について議論されてきた.非腫瘍性胃ポリープには,腺窩上皮型過形成性ポリープ,胃底腺ポリープといった日常臨床でよく遭遇するポリープの他に,若年性ポリープ,過誤腫性ポリープ,胃底腺ポリポーシスなど,比較的まれな病変も存在する.それらの成因,鑑別診断,malignant potential,Helicobacter pylori(H. pylori)感染やプロトンポンプ阻害薬(proton pump inhibitor ; PPI)との関係については既に判明しているものもあるが,不明な点も少なくない.

 序説は春間先生が担当し,非腫瘍性胃ポリープの歴史的背景,診断,発生病態についてわかりやすく簡潔に解説されており,胃ポリープの概念を理解するうえで極めて役立つ内容である.

次号予告

基本情報

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胃と腸
47巻8号 (2012年7月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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