学会印象記
第98回日本消化器病学会総会
井上 拓也
1
,
樋口 和秀
1
1大阪医科大学第二内科
pp.1318
発行日 2012年7月25日
Published Date 2012/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403113561
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第98回日本消化器病学会総会は2012年4月19日から21日までの間,学会長である菅野健太郎先生(自治医科大学消化器内科)主催のもと,“トランスサイエンス時代の消化器病学”をメインテーマとして,東京の京王プラザホテルで開催された.
主題はいずれもメインテーマに即して興味深いものが多くみられた.初日の午後に開催されたワークショップ1「栄養代謝制御における消化管生理活性ペプチドの役割」では,事前の打ち合わせにおいて,司会の屋嘉比康治先生(埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科)・乾明夫先生(鹿児島大学社会・行動医学講座心身内科学分野)から「ワークショップであるから,各自,思い切った自分の意見とアピールを」との会へのご要望があり,このため多くの質問にあふれた活気にみちたワークショップとなった.興味深いところでは,性差や加齢,Helicobacter pylori感染のグレリンへの影響や,病的肥満に対する外科的加療と消化管ホルモンへの影響などに関して詳細な検討がなされていた.本邦でも先進医療として承認された腹腔鏡下胃袖状切除術は,グレリンを抑制するだけではなく,術後のインクレチン(GLP-1)を著明に上昇させており,術後,耐糖能異常が改善されているため,今後有用な治療法の一つになると考えられた.
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