胃と腸 3巻8号 (1968年7月)

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Ⅰ.はじめに

 私共のところでは毎年220例前後の胃癌の手術がある.

 昨年は237例の手術がおこなわれ,そのうち早期胃癌は粘膜内癌30例,粘膜下層癌31例合計61例であった.このほかに手術前には早期胃癌と診断されていたが,切除後の組織学的な検索により,癌が粘膜下層を越えているために進行癌とされた症例が9例あった.

 この9例を中心に,やや古い症例も加えてそれぞれの概略を提示しよう.

 現在,われわれは粘膜下層と固有筋層の境界を目印にして,胃壁における癌浸潤の純粋に形態学的な深さの判定のみで表在癌は早期癌,深達癌は進行癌と分類している.

 今回提示したような症例を記載するにあたって,附題として早期癌と進行癌の相関についても述べたい.

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Ⅰ.はじめに

 近年,早期胃癌の診断学が一応確立され,研究の焦点が,より微細な早期のものに向っているとき,一方では前回の検査で異常を指摘できなかったにも拘わらず,半年前後の短期間に,胃癌の中でも予後の悪いBorrmann4型のSkirrhusに進行した症例の経験は,今日なおあとをたたない.これの対策として,Skirrhusの臨床診断,ひいては早期診断について研究することもまた,目下の急務であろう.

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Ⅰ.はじめに

 近年諸家が各診断面で絶大なる努力をされたため,早期胃癌が多く発見されるようになってきた.しかし,胃粘膜面の所見が早期胃癌のそれと全く同じであったり,また,小さいか微小であっても,癌の深達度が深いものも発見されるようになってきた.

 胃癌の予後は癌の粘膜面の拡がりによっては決定されず,深達度によって決されるものであることは当然であるが,これを臨床的に術前にもうすこし考えてみるべきであろう.

 そこでここに臨床的にみてスキルスあるいはボールマンⅣの胃癌をクローズアップしてみよう.

 一般開業医と臨床医は初回の胃検査で胃炎といって,一カ月または数カ月後に自分かまたは他医で極めて大きなスキルスまたはボールマンⅣの胃癌と診断されたようなにがい経験を必ずもっているのである.この時もう少し早い時期に発見することができないかと初回のフイルムをレ線的内視鏡的に見なおしているものである.

 早期胃癌を見出すには,極めて軽度の凹凸や色調の変化を注意してみなければならないことは今日では慣例になっている.このような見方をスキルスにたいして,あてはめてみるとどのようなことになるであろうかということがいつも頭の中を往来しているわけである.

 胃の各種検査施行の間隔にも問題があろうが,これらの種々の点について,二,三の反省をしてみたいと思う.胃浸潤癌の術後5年生存率はわが国では10-23%であるから,今後はこの価をさらに上昇させたいからである.

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Ⅰ.はじめに

 スキルスの経過を述べるにあたりまず明らかにしておきたいことは,胃癌の経過を観察することはありえないことである.従ってこのような経過の観察は患者が手術を拒否したまま止むをえず経過を観察せざるをえなかった症例や,切除胃でスキルスと診断された症例について,遡って他医でのX線フィルムを積極的に探し出し,ふり返って検討をしたものおよび見落しの症例の検討である.従ってこのような症例は予め一定の経過期間で観察したものではなく,あくまで逆追跡による,したがって検討にたえる症例数も少なく,未だ結論できるほどの普遍的な内容に乏しいことを断っておきたい.まず私達の経験例を供覧し,二・三の問題点にふれてみたいと思うが,スキルスの経過で問題になるのはまず第1にそのX線診断または内視鏡診断の難かしさであり,第2にその臨床症状または各種検査所見の経過,第3にスキルスの発生に関する問題にまとめてみた.

 ところで,本文で扱かうスキルスとは概括的に結合織性の変化が強く,びまん性発育をきたした癌と解釈して話を進めるが,ほぼ同義的に扱われるものにボールマンⅣ型癌またはLinitis plastica Carzinomatosaがある.主病巣がびまん性・浸潤性発育を示しておれば,一部潰瘍形成がみられたとしてもスキルスとして扱った.

 以前私達はびまん性発育をきたした胃癌例で内視鏡検査を施行したところ,比較的短時日(約1週間)に腹水貯留をきたした数例を経験し,このようなボールマンⅣ型癌例での内視鏡検査では,過剰の空気挿入が胃漿膜側での癌細胞播種をきたす可能性のあることを報告した4).その後このような例での内視鏡検査例で同様の経過をとるものは少ないが,少なくとも経過中に比較的急速な進展を示す症例もあり,臨床的に若年者での頻度が高くかつ次第に本型に増加の徴をみることははなはだ重要な位置を示すものと考える(第1表).

予後のよい進行胃癌 大森 幸夫
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Ⅰ.はじめに

 予後の良い進行胃癌.これは大変むずかしい問題である.それは進行癌というものは一体どのようなものを言うのか色々と疑問の多い所であり,また,癌の予後に関係する因子は大変複雑であるため,どれを取り挙げて予後を論じたらよいか,これ又判断に苦しむことが多いためである.それで,本論に入るまえに,進行癌というものが今日どのように考えられているか一寸触れることにする.進行癌,これは早期癌に対してつけられた名称である.胃癌ついていえば,癌の浸潤が粘膜ないし粘膜下にとどまるものを早期癌(early carcinoma)とすることは周知のところである.

 したがって進行胃癌(advanced carcinoma)とは,癌の浸潤が固有筋層以上に達したものを総称することになる.しかしながら,癌本来の生物学的な性格から考えれば,このような分類で癌発育の時間的経過を表現することには大変な無理があるように思える.この点はすでに病理学者からしばしば指摘されているところであるが,臨床的な慣用語としてはまた,捨てがたい味があるため,なお広く使用されているものである.これに対して外科領域においては,すでに数年来胃癌の臨床病理学的の取り扱いに関して一定の取り決めをして(外科・病理,胃癌取扱い規約5)),それにしたがって胃癌の問題を論じようという傾向になっている.この胃癌取扱い規約では,いわゆる“早期癌”,“進行癌”なる言葉は一切使用していない.すなわち,早期癌の分類に入るものには“表在癌”という表現を用いている.したがって進行癌は深部浸潤癌ということになるであろう.このように,癌の胃壁内浸潤の程度を,客観的に表現する言葉を用いた方が,癌の臨床病理学的検討には大変合理的であると考える.

 このような根拠から,私は進行癌という言葉は深部浸潤癌という意味に解釈して,話を進めることにする.

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Ⅰ.はじめに

 沖縄は,沖縄本島,宮古島,八重山島の他60余の島々からなり,人口90万余人.医師会々員数は,開業医,勤務医,公務員医師合わせて319名である.医師の約9割が沖縄本島に,又開業医の約半数が,沖縄の政治経済の中心地那覇市に集中し,社会保障制度も最近やっとその緒についたばかりである.

 医学会は沖縄医学会が春秋2回開催されるだけで,琉球政府の重要政策の一つである肺結核を除いては演題も症例報告が多い.しかし最近各科に分科会が誕生,分科会活動として各種疾患を合同調査する機運が起っている.沖縄内視鏡同好会(1962年結成)も結成以来現在迄会員の技術向上のため,X線関係では,白壁彦夫,市川平三郎,山田達哉,内視鏡関係では,芦沢真六,森純伸,斎藤利彦,病理学関係では村上忠重先生等の技術指導を仰ぎ,現在会員数48名,使用されている内視鏡の数は37式(V型22,VA型11,GTF4)である.同好会所属の医療機関は38ヵ所(政府立病院3,公立病院1,診療所34)で,診療科別にみると,内科18,外科20,これを沖縄本島についてみると,内科の約1/3.外科の大部分が同好会に所属していることになる.

 従って,与えられた題目の主旨とは些か異なるが,沖縄医学会に発表された業績を随時引用しつつ,沖縄内視鏡同好会の調査した2,3の成績について述べたいと思いますので御了承願います.

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Ⅰ.はじめに

 早期胃癌の診断は,X線検査,内視鏡検査の著しい進歩により1cm前後の表面型早期胃癌まで可能となって来た.そして今後早期胃癌診断の方向は,更に小さい病変,およびより凹凸の少ない即ちⅡb病変の診断へと向って行くものと思われる.このような病変の診断にはX線検査,内視鏡検査のみでは確診に到るには困難であり,当然のことながら胃生検,細胞診などの病理学的水準での診断の協力が必要となって来る.

 私共は2年9ヵ月間経過観察を行ない,最終的には胃生検によりⅢ+Ⅱb型早期胃癌と診断した例を経験した.この症例はあらかじめ胃生検で,癌であることが確認されていてその後のX線検査で潰瘍周辺の胃粘膜の状態を検討した例である.

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Ⅰ.はじめに

 X線で胃角,幽門前庭部の多発早期癌を,胃カメラで胃角部にⅡc+Ⅲを疑い,ファイバースコープ(FGS)ではX線,胃カメラで指摘しえなかった前幽門輪に早期胃癌Ⅱc+Ⅲを疑い,直視下生検により癌を確診した1例を報告する.

 なお,本例は多種病変を有しながら無愁訴で経過し,X線で拾い上げた病変は,組織学的判定では胃角部は潰瘍瘢痕,幽門部は特殊型腸上皮化生であった.

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Ⅰ.緒言

 著者らは胃X線及び胃カメラ検査で早期胃癌と診断し,切除胃の肉眼標本でも早期胃癌と考えたが,病理組織学的には良性潰瘍であった非常に興味ある1症例を経験したので,ここに報告する.なお本症例は昭和42年12月東京の早期胃癌研究会において発表した.

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Ⅰ.緒言

 PennerとBernheim1)(1939)が手術後の患者の腸管に出血性の壊死が多発して,しかも上および下腸間膜動脈および静脈の内腔に閉塞のない疾患を記載し,acute postoperative enterocolitisと命名した.夫妻は,この疾患の病因をショックに求め,ショック時の腸管に血管の虚脱状態が起こり,乏血のために腸管壊死が発生すると考えた.その後,この病因論の当否について,多くの議論が起こり,と同時に疾患の呼称についても,Pseudomembranous enterocolits(Baggenstossら2)1954)を始めとして,近くはnonocclusive mesenteric ischemia(Fogarty,Fletcher3)1966),terminal hemorrhagic necrotizing enteropathy(Bhagwat,Hawk4)1966)など多彩な名称が用いられている.最近米国を中心としてこの疾患の病因論が再び活発な議論を呼び,10年以前の病因論よりもはるかに高いレベルで,討議されている.

 米国での本疾患の発生は,それほど稀なものではなく,すでに500例近い報告があり,剖検体数の0.6%5)から0.8%4)の出現率にあたるようであるが,本邦での発生は,欧米に比べてはるかに少なく,死後に剖検した報告例は,最近10年間にわずか10数例6)7)8)9)に過ぎない.

 長らく胆石症に悩み,最後の発作直後から下腹部激痛,ショック,穿孔性腹膜炎を起こし,直ちに開腹して回腸切除を行ったが,19日目に死亡した1例を経験し,剖検したので報告する.

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 常岡(司会) きょうは進行癌の問題点というテーマでいろいろお話し願いたいと思います.数年来から早期胃癌の問題についてはいろいろ検討され,その内容は本誌に逐次掲載されておるような次第ですが,一方進行胃癌はもちろんたくさんあることなので,早期胃癌ばかりにこだわっていてもいけないんで,この際新めて進行胃癌について少し検討してみたいと思う次第です.

 それで進行癌という定義の問題ですが,早期胃癌というものがX線的にも内視鏡的にもさらに病理組織学的にも日本では少なくともはっきりと定義されておるわけですから,そうでないそのワクをはみ出したものを進行癌としていろいろお話を願いたいと思います.

技術解説

食道鏡―その実際について 遠藤 光夫
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Ⅰ.はじめに

 KussmaulがDesormeauxの照明装置に,47cmの長管をつけ,始めて食道内を観察したのは今から丁度100年前である.その後,Killian,Brünings,Jacksonらにより,器械の改良,技術の進歩がなされ,本検査は広く行なわれるようになってきた.

 一方,わが国ではKillianに師事された久保教授が,明治40年に始めて食道鏡を使用して摘出した食道異物を報告したが,その後,久保,小野両教授が中心となって,本法の普及に努力されてきた.本学中山教授も,千葉大在任中,側視式,斜視式,逆視式食道鏡を考案,食道噴門部の診断に力をそそいできた.

 食道鏡検査は,ごく最近まで耳鼻科領域において,主に治療面を対象として発達してきた.したがって,器械の進歩に優れた点はみられるが,金属の直管を使うという根本原理は変らず,特殊技術として,専ら医師の技術の習熟に負う所大であった.

 近年,食道外科の進歩に伴い,一般の内科,外科医の間でも,食道の微細な病変の診断に,食道鏡検査の必要性が高まってきた.それにつれて,挿入の容易な,苦痛の少ない柔軟な食道鏡の出現が強く望まれていた.

 1957年,HirschowitzがGastroduodenal Fiberscopeを発表して以来,ファイバースコープという革命的な内視鏡が,各分野で応用されるようになり,食道鏡においても,米国でHirschowitz(1963),LoPresti(1964)らにより,A.C.M.I.より発表された.一方,わが国でも,オリンパス光学,町田製作所でてがけ,先端部を上下に屈曲可能にするなど,独自の考え方で進め,最近の国産の食道ファイバースコープは,米国製のものに優るとも劣らないすぐれたものになっている.

 食道ファイバースコープは,挿入技術も容易で患者の苦痛も少く,さらに解剖的な面で,従来の硬性直達鏡では不可能であった症例にも施行できるなど,診断面への貢献は大なるものがある.しかし,伝統的な硬性直達鏡の役割は決して消失するものではない.異物摘出,拡張術などの治療面は,依然として,直達鏡にたよらざるを得ないからである.一方,記録面でも,レンズ光学系を用いた硬性鏡での優れた解像力は,ファイバースコープをルーチンとして使用していながらも仲々捨てがたく,イメージファイバーの改良は,今後ともつづけらるべきものである.

 以下,これから食道鏡検査をお始めになる方々に少しでも御参考になればと思い,ファイバースコープを中心に,食道鏡検査の実際面をのべる.

研究会紹介

熱海消化器病同好会 小黒 八七郎
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 第1回の同好会のスタートは昭和41年3月,国立熱海病院改築1周年の記念講演会で,演題は田坂定孝先生「胃カメラの進歩」,白壁彦夫先生「十二指腸潰瘍のX線診断」,崎田隆夫先生「早期胃癌の内視鏡診断」と,その道の権威,先駆者の御講演と,地元の関係で小生の「胃内視鏡診断の基礎的研究」でありました.静岡県はもとより,東海,神奈川,東京方面からも130名にも及ぶ参会の諸先生でホールは満員となり,主催者として嬉しい悲鳴をあげた次第でした.戦前からのバラックの旧病院は昭和39年11月,田坂先生を院長にお迎えし,40年2月に鉄筋高層ビルを竣工し,面目を一新したのであります.静岡市医師会と白壁先生を中心とした胃研究会,浜松市医師会の胃研究会などはすでに会を重ねており,静岡東部地区の諸先生方から地元に研究会をもちたいとの希望が多く,丁度機を一にして胃カメラの育ての親である田坂先生をお迎えし,また国立熱海病院が胃カメラ講習センターに指定された関係上,熱海消化器病同好会は内視鏡を中心として,特色を生かして行くことになりました.以後毎月1回開催され,特定のテーマについて,約1時間半の講演次いで討論会,症例検討会が活発に行われております.東京,静岡,伊豆,西湘地区の諸先生が常時40名前後出席されております.

山ロ県胃疾患研究会 中村 克衛
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1)“山口県胃カメラ同好会”

 山口県胃カメラ同好会が誕生したのは昭和35年の秋であったと記憶している.故水田信夫教授を会長として筆者ら胃カメラグループが中心となって,県下の病院の有志数人に幹事になっていただいて発足した,当時,胃カメラを使用していた診療機関は二,三ケ所に過ぎなかったが新兵器とあって一般の関心は強く,大学,病院,開業医約50名が集い,先ず胃カメラ(Ⅲ型)の説明,術式,症例の供覧で約1時間しゃべったと思うが,それが第一回の会合であった.その後胃カメラの使用も増え,教室での受講者も増加(40数機関)し,同好会も講習的な会から症例検討の会へと発展して行った.40年,藤田教授が会長になられ,折からの内視鏡,X線診断の向上と相侯ってこの会も更に盛況となり,会員の診断技術の進歩にも著しいものがあり,早期癌症例の増加には目を見張るものがある.多くは大学の所在地宇部市で行われるが,会員の要望により徳山市,山口市などで開催したこともある.会員以外にも山口県の殆どの病院,開催地開業医にも案内を出すようにしている.

 元来,本同好会は年4回行う規約であったが,大体年1,2回位ですでに13回を重ねている.又最初は胃カメラ同好会として発足したものの昨今では早期胃癌対策を中心とした綜合的な消化管研究会の性格が強く消化器研究会と改称する準備もすすめられている.最近では常に70~90名の参加者があり,先ずお招きした講師の特別講演が1~1.5時間,続いて例の如く会員の症例検討に移り明解な読影をお聞き出来るのが楽しみである.最後に講師を囲んでパーティーを行い,15時に始めて19時頃会を閉じるのが常である.近頃,講師への質疑が大変多くなったことは会員の知識の向上を物語っており,又この方面の重要性の認識が広まっていることはよろこばしいことである.発足以来,講師として多くの大家に御来県いただき,それぞれの面から専門的なご教授を得たことは会員の知識向上に,会の発展に大いに力あったものと深く感謝しており,今後も一層ご指導願いたいものである.

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欧文目次

書評「内科往診学」 吉利 和
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 書名を見ただけで,まず“おや”という感じをもった.これは偽らない感じである.そして一体どんなことが書いてあるのだろうかという気持が湧いてきた.一体「往診学」という学問体系があるのであろうか?さらに,往診というのは,一つの便宜的な診療手段だと軽く見すごしていたことに対して,“おや”という感じをもたざるをえなくしてくれた.

 著者によると,往診は一つの独自な診療体系であり,これは,“動く診療室”として把握さるべきこと,とくに“動く”ことをめぐってすべてが展開されることに中心があるという.この性格が,同時に長所でもあり,また短所でもある.

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 病院管理学の全般をとり扱った図書としては,島内武文氏の「病院管理学」が昭和32年に出版され,つづいて昭和33年には今村栄一氏の「病院管理学の実際」が刊行されている.しかしこれらは病院管理者または管理グループに属する入々を読者対象として書かれたものと思われる.島内氏の著書は初版が700頁を越える大きなものであったが,最近出された改訂版はさらに大部のものとなっている.

 それにひきかえこの高橋政祺著の「病院管理学入門」はA5判150頁のごく読みやすい病院管理学の概説書である点が大きな特徴である.そしてこの本が管理者むきの専門書ではなく,一般の病院勤務者に新しい病院を理解してもらうことを目的として書かれたものである点にこの本の使命がある.

編集後記 村上 忠重
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 本号はとくに進行癌を中心にして編集した.これまで編集の主力を早期胃癌においてきたが,やはり進行癌についても触れなくては片手落ちだという意見が強く起こってきた.もち論進行癌ならば何でもいいというわけではなく,早期胃癌だと思って手術をしてみたら,組織学的には早期胃癌の範疇を越えていて進行癌だった例とか,また進行癌でも凹凸の度が少なくて誤診の危険の多いスキルスなどとかについて特に考えようとしたわけである.また進行癌であり乍ら,早期胃癌と同じように予後のよい胃癌がある.それは一体どんな胃癌なのかという考察もして貰った.要するに早期胃癌との関連において,進行癌を見直してみようと考えたわけである.

 著者の方々の御努力で大変面白い論文が揃った.何れも臨床に密着した観察がなされており,貴重な記録である.また進行癌に関する座談会も非常に円滑な進行を示し,文章に尽せない微妙な面白さが醸し出されている.進行癌も見方を変えると大変面白くなるものである.

基本情報

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胃と腸
3巻8号 (1968年7月)
電子版ISSN:1882-1219 印刷版ISSN:0536-2180 医学書院

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