臨床検査 35巻8号 (1991年8月)

今月の主題 真菌症

巻頭言

真菌症―最近の話題 山口 英世
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 最近注目される真菌症の話題といえば,何といっても日和見感染型の真菌症をめぐってのそれであろう.一部のクリプトコッカス症症例を除けば,カンジダ症,アスペルギルス症,ムーコル症を含めてわが国でみられる主要な深在性真菌症はすべて易感染性患者に続発する日和見感染症である.いずれの真菌症についても近年患者発生率の増加のみならず発症例の重症化がみられることが,奥平雅彦博士(北里大)らの剖検例検索の結果から明らかにされている.その背景には,患者の易感染化を促す基礎疾患―白血病その他の悪性腫瘍や血液疾患など―をもつ患者集団の増大化およびさまざまな医療処置―制癌療法,免疫抑制剤の使用―の繁用があることは疑いないところである.

 深在性真菌症の起因菌についてもかなりの変遷がみられる.カンジダ症は従来Candida albicansによるものが大半を占めていたが,近頃これに代わってC.tropicalis,C.Parapsilosis, C.glabrataなど別の菌種に起因する症例が著しく増えている.また,これも以前にはほとんど報告例のなかったTrichosporoncutaneumによる全身感染が目だつて多くなってきた.このように原因菌種が本来病原性の低いものまでに広がつている理由は,感染抵抗性が極度に低下した患者の増加にあると考えられる.

カラーグラフ

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 真核生物に属する真菌は,細菌(原核生物)に比べてはるかに大型の細胞から成り,しかも大部分の真菌(糸状菌)においては多細胞性の栄養形(菌糸)発育が見られる.加えて,真菌は菌群や菌種に特異的な様式と形態をもつ胞子形成を行う.これらの形態学的特徴は,臨床材料から直接作製した標本において,また培養標本ではさらに詳細に,光学顕微鏡下で観察され,真菌症の診断や原因菌の同定に役だつ.こうした標本に適切な染色法を施せば観察はいっそう容易になる.

総説

真菌の形態学 山口 英世
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 栄養形がフィラメント状構造体(菌糸)か,単細胞性か,またはその両者であるかによって,真菌はそれぞれ糸状菌,酵母,二形性真菌に区別される.いずれの真菌も休止形として無性胞子を形成するが,その形成様式と産生される胞子のタイプは著しく多様でしかも菌群や菌種に特異的である.これらの形態学的特徴は,真菌,特にその大部分を占める糸状菌の分類および鑑別・同定にきわめて有用な基準となる.

解説

真菌症の臨床 伊藤 章
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 深在性真菌症は,Candida属,ASpergillus属,Cryptococcus neoformans,Mucor,Nocardia,放線菌などが病原真菌となり,全身諸臓器に及ぶが,多い病型としては中枢神経系,呼吸器系,消化器系,尿路系,そして全身性真菌症がある.世界的に増加傾向にあり,特に易感染性宿主(compromised host)に日和見感染症(opportunisticinfection)として生じやすい.

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 真菌感染の成立に関与する菌側要因について,病原真菌の宿主への侵入と増殖に役だつ病原因子として,毒素,酵素,細胞付着性を取り上げ,次に生体側の攻撃に対し防御として役だつ因子として,二形性,細胞表層物質などについて記述した.このような菌側要因を中心とした真菌症の発症メカニズムを解説した.

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 現在,基礎研究段階にあるものも含め,これまでに明らかにされた抗真菌剤の作用機序は,①真菌形質膜エルゴステロールの機能障害,②エルゴステロールの合成阻害,③細胞壁合成酵素の阻害,および④核酸合成阻害などに大別されるが,核酸合成阻害剤を除けば,ほかの薬剤はいずれも真菌形質膜を標的部位としている.ここに,これらの薬剤の作用機序について概説する.

技術解説

真菌抗原検査 久米 光
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 内臓真菌症の免疫学的診断のうち,抗原検出法の概略を記述した.当然のことながら,免疫学的診断はあくまでも補足的診断法であるとの認識が必要であるし,かかる検索成績は病期や病勢を十分に考慮したうえで採取された,もっとも的確な検索材料によって評価されるべきであるとの認識が肝要である.

真菌抗体検査 羽山 正義 , 発地 雅夫
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 真菌症の早期診断のために,血清中に出現する真菌抗原および代謝産物,あるいは抗体の有無とその変動を測定することが有用であるが,いまだ,的確な検査法が確立されていない.したがって,患者の臨床症状から判断して抗真菌剤の投与が開始される場合も多い.抗体検査は,免疫応答が正常な場合には,感度の鋭敏な測定方法を用いて抗体の変動を測定すれば,患者の病状の把握にも役だつ.また,多くの健康人が自然抗体を保有している可能性のある真菌症の場合には,経日的抗体価の変動を追跡して初めて真菌症が推測される.しかし,immunocompromised hostの場合には,抗体産生が不十分であり,認められないこともあるので期待できない.

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 真菌感染症は,わが国には比較的馴染みの少ない感染症であり,真菌は,日常的な薬剤感受性試験の対象とはなっていなかった.抗真菌剤は,抗細菌性の薬剤と異なって薬剤感受性試験が複雑なことが多いため,世界的に統一した試験法がいまだ確立していない.本論説は,臨床真菌に対する薬剤感受性試験法について,もっとも一般に真菌の感受性(薬剤の抗菌力)の指標とされている最小発育阻止濃度(MIC)の測定法について,被検菌の調製・薬剤の希釈系列作製・培地の調製・培養条件などの実施法を最近の知見を基に解説する.

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 D―グルコース残基がβ―(1→3)結合でらせん状に連なった支柱(backbone)に,D―グルコースないし(1→3)―または(1→6)―β―D―ポリグルコシドが側鎖としてβ―(1→6)―結合して分岐した構造を基本とする(1→3)―β―D―グルカン類はムコールを除く病原真菌類の細胞壁の主要な構成成分である.個々の真菌についてのその正確な構造は,複雑さのために完全には解明されていないが,三重らせんを含む種々の高次構造をとり,細胞壁に強靱性を付与し,外界から菌体を保護するのに役だっていると考えられる(図1)1,2).この物質は細胞壁を持たない動物細胞はもちろんのこと,細菌の細胞壁にも存在しないので真菌のマーカーとして使うことができる.これを実際に臨床検査に応用する研究のきっかけとなったのは,カブトガニの血液凝固因子のうちのG因子が,微量の(1→3)―β―D―グルカンによって活性化されるという発見である(図2)3).さらに最近の研究の結果,(1→3)―β―D―グルカン中の重合しているグルコース残基の数によつて,G因子に対する活性化能が大きく異なり,直鎖の場合,数平均重合度がほぼ36以下では活性がなく,42以上になると重合度とともに活性が増大することがわかった.また三重らせんより一重らせん構造のほうが活性が高いことから,G因子の活性化には,ある特定の高次構造が必須であることが明らかになった4,5)

 カブトガニの血液は以前よりリムルステストとしてエンドトキシンの検出に使われていたが,このテストの結果に釈然としないものを感じていたわれわれは,G因子を除いたエンドトキシンに,特異的なリムルステストを作り(図3),従来の方法と比較検討してみたところ,従来法で明らかな高値を示しながら新しい方法ではまったく反応しない検体があり,それらはいずれも内科的深在性真菌症の症例であることがわかった.そこでG因子を利用した(1→3)―β―D―グルカンの測定系(Gテスト)を組み立て(図4),熱水抽出したいろいろな真菌多糖に対する反応性をみてみると用量依存的に反応することが確かめられた.このGテストを用いて血液培養で真菌が陽性にでた検体,剖検で内臓真菌症が確認された検体,臨床的に抗真菌剤の奏効した症例の検体についてみるといずれも血中(1→3)―β―D―グルカン濃度が高いことが示された.さらにこのような血液検体を(1→3)―β―D―グルカナーゼで消化した後,Gテストにかけるとまったく反応しなくなることから検体中のG因子反応物質は確かに(1→3)―β―D―グルカンであることが裏づけられた.また,血中(1→3)―β―D―グルカン値は抗真菌剤による臨床症状の改善につれて低下していくことも観察されている.これまでの経験から,カンジダ,アスペルギルス,クリプトコッカスといった内科的深在性真菌症の三大病原真菌はすべてGテストに反応しており,カンジダのなかでも広い菌種がカバーされている.以上のように血中(1→3)―β―D―グルカンの測定は深在性真菌症のスクリーニング,経過観察に非常に有望な検査法と言える.しかしまだ臨床に供する前に解決しておかなければならない点が残されている.その1つは(1→3)―β―D―グルカンの標準品の調製である.すでに述べたように(1→3)―β―D―グルカンの大きさや高次構造によって活性に大きな開きがあるので,これらの条件をある程度そろえた,一定の活性を持つた安定した標準品を用意しなければならない.また偽陽性の問題として腎透析患者の場合がある.腎透析膜がセルロースで作られている場合には,(1→3)―β―D―グルカンが大量に混在しているので,血中に流出して偽陽性となる.腹水の透析灌流を受けている場合も同様である.また,血漿分画製剤やアミノ酸製剤のなかには製造工程でセルロース膜を使用しているところもあるので,これらの非経口投与を受けている場合には,結果の解釈に注意が必要となる.

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1.C. albicansが分泌する酸性プロテアーゼの性質

 C. albicansは生育環境に窒素源が欠乏すると蛋白分解酵素を分泌する.ヒト皮膚の角質層や爪によく生育するのは,環境が弱酸性であり,C. albicansの分泌する酵素が酸性で働く酸性プロテアーゼであるからである.この酸性プロテアーゼを人工培地で産生させ分泌させるためには,YCB-BSA(10%)寒天培地が適している.YCB-BSA(10%)寒天培地に接種されたC. albicansからその分泌パターンにより5型の酸性プロテアーゼが観察され,このうち,病原性のもっとも強い種類の酸性プロテアーゼは接種後72時間を経て分泌が始まるタイプのものである.このタイプの酸性プロテアーゼを分離精製すると,分子量44,000,至適pH 3.3,pH 7.2以上のアルカリ環境では速やかに変性する酵素であることがわかった.この酸性プロテアーゼを分離精製し,以後の研究に使用した.特異抗体は,この酵素をウサギに免疫し抗血清を作製し,アフィニティーカラムの操作により作製した.

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1.はじめに

 医学の進歩は易感染性患者を増加させるとともに,診断困難な深在性真菌症をクローズアップさせた.なかでも深在性カンジダ症は,適切な診断方法がなく,しばしば剖検による診断という最悪の事態となっていた.しかし,近年,副作用の少ない抗真菌剤の開発とともに,いくつかの深在性カンジダ症の診断薬が開発され,診断と治療の両面で進歩した.ここではカンジダの代謝産物であるD―アラビニトールによる血清診断法について原理,測定方法,診断上の注意点について述べる.

真菌検査の自動化 山根 誠久
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 いわゆる自動細菌検査装置が本邦へ導入されてから20年近く経過するが,真菌検査の自動化という視点からすると,この間大きな変化はなく,同定される菌種のデータ・ベース拡充にとどまる.菌接種後,オフ・ラインでの培養(システムにオン・ラインで接続する培養・判定装置ではなく,別途用意された培養器での培養),自動読み取り,自動判定(各反応の陽性/陰性判定),コンピュータに組み込まれたデータ・ベースを用いた菌種の決定といった操作で検査されている.一般細菌のように,オン・ライン培養,薬剤感受性試験とのマッチングといった自動化された検査とは程遠く,その機能も同定検査にのみ限定され,半自動化という現況にある.その理由には,分離される酵母様真菌のほとんど,多くの施設で60~90%が発芽管(germ tube)陽性のCandida albicansであり,鑑別同定が求められる酵母様真菌の頻度が少ないこと,また適応となる抗真菌剤の種類が限られ,手技上の困難さから標準化された薬剤感受性試験が確立されていないこと,といった点が挙げられよう1).ここでは,酵母様真菌同定機能をもつ2つの自動化機器を紹介していく.

学会印象記 第41回電気泳動学会春季大会

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 電気泳動学会は1950年にTiseliusの電気泳動装置の普及が契機となって設立された電気泳動研究会から発展した学会である.1950年頃は電気泳動法といえばTiselius法で,会員はTiseliusの装置(主として日立のHT-AまたはHT-B形)を用いていた研究者約300人に過ぎず,その後の実験法の目覚ましい進歩とともに,方法の名を付けた学会が1,200人余りの会員を擁する学会として40年以上も続くとは誰も予想しなかった.ちなみに欧米のelectrophoresisの名を付けた学会は長くても十年程度の歴史を持つに過ぎない.

 創立の由来,電気泳動法の応用分野を反映して,学部で言えば医,歯,薬,理,農など広い範囲の会員がいるが,何らかの形で広義の医学にかかわっている者が多い.臨床検査関係の施設に所属する会員は約300名である.また,電気泳動関係の機器の開発や,バィオサイエンスの分野への諸会社の参入を反映して,その方面の会員も最近増加している.

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 わが国では最近肝臓の原発性悪性腫瘍が増加しつつある.肝細胞癌,胆管細胞癌,その他の悪性腫瘍の頻度比はおよそ90:9:1である.ここでは肝細胞癌を中心として肉眼所見と組織学的所見について概説した.

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 超音波法の最近の進歩はプローブを小型化し,さらに高周波の振動素子を使用することによりカテーテル型超音波法を確立し,小動脈の病理組織,形態学的診断を可能とした.一方,経食道2次元心エコー法は内視鏡の先端に振動子を装着することにより心臓,大血管に対する画像診断の新しい役割を担っている.

 最近筆者およびSchwartz, Sewardらは直接血管内より心臓を描出するために経食道2次元心エコーのプローブを心腔内へ挿入し,侵襲的2次元心エコー法に関する実験的研究を行い,心腔内からきわめて鮮明な画像を得た.今回の報告はいずれも動物実験によるものであり,雑種成犬,または豚を用いて検討をしている.ここでは主に筆者らの成績をもとに述べる.

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 肺癌,喉頭癌,腎癌,乳癌,ATLなどに高カルシウム血症が合併することは,よく知られている.その原因として,癌細胞によるparathyroid hormone related protein(PTHrP)の産生が最近注目されている.

 PTHrPは,141個のアミノ酸により構成されるペプチドであり,parathyroid hormoneとは,N-端に相同性(ホモロジー)の存在することが知られている.

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 日本紅斑熱と恙虫病は現在のわが国における代表的リケッチア症となっている.両者は症状,治療,そして診断方法に類似点が多いので,まずそれから概観してみる.

 臨床症状は,ともに高熱,発疹および刺し口の3徴候であるが,日本紅斑熱では,発疹は出血性となる傾向があるためにより鮮明であるのに対して,刺し口は恙虫病より小さくて見つけにくい.治療面では,両疾患ともにアミノ配糖体やβ―ラクタム系の抗生物質はまったく無効なのに対して,テトラサイクリン系が著効を示す.確定診断はそれぞれの病原リケッチアを抗原とした免疫蛍光法や免疫ペルオキシダーゼ法による特異抗体の検出が主流である.なお日本紅斑熱の診断では,紅斑熱群であればたいていの種類のリケッチア抗原で代用できる.また恙虫病ではとかく診断価値が低いことで不評のWeil-Felix反応は日本紅斑熱では有用で,OX-2抗原での陽性反応が特徴的である.この反応が本症発見の契機となった.

ユロポンティン 白髪 宏司
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1.はじめに

 尿路結石症は古くから人類を悩ませてきたごく一般的な病気である.一方,発症は若い男性に多く,再発し,家族性を認めることも多いなどと,多くの研究にもかかわらずその原因論に至ってはいまだ不明な点が多い1).本邦においてユロポンティンの名称を紹介するのは本稿が初めてである.ヒト尿路結石症の大多数において,その主要成分をなす"シュウ酸カルシウムの結晶発育を特異的に阻害する蛋白"として,われわれが分離精製した本蛋白につき,その研究経緯ならびに特性を概説したい.

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 最近カイロン社が開発した,HCV感染を確認するための,第二世代recombinant immuno blotassay法(RIBA)を紹介する.

 カイロン社が開発したHCV抗体(C100抗体)検査法は,わが国では世界に先駆けて,供血者のスクリーニングに用いられ,輸血後C型肝炎の発症を半減させる成果を上げている.しかし,C100抗体検査では,偽陽性が高頻度に認められることが報告されている.また,HCVには多種類の変異株があり,C100抗体検査法で陰性となるHCV感染者が存在することも明らかにされつつある.現在のところ,HCV感染について,もっとも感度と特異性が高い検査法は,PCRによるHCV検査であると考えられている.しかし,PCRは手技や汚染の防止面などに問題がある.簡便で感度と特異性の高い検査法の登場が望まれている.

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 advanced glycation end products(AGE)の生成反応は糖が仲介する蛋白質の不可逆的重合反応であり,白内障,動脈硬化,老化などの主要因として注目されている.AGEの生成阻害および可逆的可溶化を誘導する薬剤の開発は,上記の発病予防および治療に直結するものであり,急を要する研究課題である.

 A. Ceramiらは,アミノグアニジン(AMG)がAGE形成を阻害することからこの薬剤の広範な応用展開を計画している1,2).しかし安全性に問題があり,簡単に臨床適用はできそうもない.堀内らはfructosyl-amino acid oxidaseをCorynebacteriumから抽出し,報告している3).しかし,異種蛋白であるこの酵素を生体に適用することには問題があり,治療薬としての利用はかなり先になりそうである.

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 酢酸を含む輸液剤の普及に伴い,血中酢酸濃度の測定が必要になってきている.これまでの酵素法やガスクロマトグラフイー法は,主として食品中の濃度測定用に開発された方法である.ヒトの血中酢酸値は食品中よりかなり低値なため,従来の方法では不正確であり,いまだ確立された測定法はない.われわれは有機酸分析システム(Shodex®OA)を用いた高速液体クロマトグラフィー法による血漿中酢酸の測定法を開発し,良好な結果を得た.

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 ヒトT細胞白血病ウイルス(HTLV-I)の構成蛋白の部分合成ペプチドを固相化抗原とした酵素免疫測定法(SP-EIA)により,妊婦血清中の抗HTLV-I抗体の検出を行った.その結果,凝集(PA)法および蛍光抗体(IF)法いずれも陽性の91検体中89検体が陽性,PA法およびIF法いずれも陰性の91検体中90検体が陰性,またPA法陽性,IF法陰性の10検体では全例が陰性となり,IF法との一致率が高かった.IF法と一致しない検体も吸収試験により非特異反応ではないことが示され,本法は偽陽性,偽陰性が少なく,スクリーニング検査および確認試験に有用であろうと考えられた.

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 ATL43例・HAM19例・IF法による抗体陽性検体(IF (+))57例・IF (-)検体221例について,新しいELISA測定系"NovaPath ATL-EIA"の有用性を検討した.

 ①IF法との一致率は,ATL・HAMで100%,その他の血清で97.8%であった.②IF (+)57例中2例が陰性となっが,ウエスタンブロット法などにては陰性と判定された.③IF (-)検体に対する偽陽性率は4/221,1.8%と低かった.④本測定キットは,凝集法やELISA法による従来の測定法にて偽陽性とされた検体と反応しなかった.

 以上より,本測定キットは従来の測定キットと同等ないしそれ以上の精度を有すると考えられた.

私のくふう

組織内真菌迅速検出法 鹿川 攻
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 組織内の真菌を検出する方法として従来からPAS染色,グロコット染色が用いられてきた.最近コロイド銀液(Ag-NORs)を用いた方法が報告されている1,2).今回私はコロイド銀液を用いた方法でさらに迅速に真菌を検出することを目的として以下に述べる方法を試みたので紹介する.

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 クリプトコッカスはカンジダと同様酵母様真菌に属し,通常球形ないし卵円形の細胞を形成する.細胞は仮性菌糸や真性菌糸を形成せず,典型的な場合に限り莢膜をもつとされている1)

 近年,Roら2)は莢膜をもたない莢膜欠損型クリプトコッカスとほかの酵母様真菌の鑑別にはフォンタナマッソン染色(F-M染色法)が有用であることを報告し,當銘ら3)もさらにその変法を考案して,より鑑別性の高い染色結果が得られることを報告している.そして,これらの染色は莢膜の有無を問わずクリプトコッカスのいずれの型の菌をも染め出すことができると述べている3)

質疑応答 免疫血清

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 Q ASO価におけるIgG,IgM,IgG1などのサブクラス定量の臨床的意義について,また,ELISA法でASO価を測定した場合のカットオフ値の設定について,併せてご教示ください.

クラス別RFの検出法 Q生 , 廣瀬 俊一
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 Q クラス別RFの検出には,抗原として変性IgGが用いられるが通常の方法と思いますが,ウサギIgGを用いる利点などについてご教示ください.

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 Q 細胞診におけるカリニ肺炎の染色についてご教示ください.

質疑応答 臨床病理

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 Q ホルター心電図による心室性不整脈の評価に,ローレンツ・プロット法が用いられることがありますが,この方法とその意義について御教示ください.

質疑応答 資格制度

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 Q 新しい医療職として現在検討されていますが,その職務と資格の取得方法についてお教えください.また,世界の救急隊員の資格などについても併せてご教示ください.

基本情報

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臨床検査
35巻8号 (1991年8月)
電子版ISSN:1882-1367 印刷版ISSN:0485-1420 医学書院

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