今月の主題 真菌症
話題
酸性プロテアーゼを指標にしたC.albicansの検査
𠮷野谷 定美
1
Sadayoshi YOSHINOYA
1
1東京大学医学部附属病院検査部
キーワード:
酸性プロテアーゼ
,
C. albicans
Keyword:
酸性プロテアーゼ
,
C. albicans
pp.854-855
発行日 1991年8月15日
Published Date 1991/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542900676
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1.C. albicansが分泌する酸性プロテアーゼの性質
C. albicansは生育環境に窒素源が欠乏すると蛋白分解酵素を分泌する.ヒト皮膚の角質層や爪によく生育するのは,環境が弱酸性であり,C. albicansの分泌する酵素が酸性で働く酸性プロテアーゼであるからである.この酸性プロテアーゼを人工培地で産生させ分泌させるためには,YCB-BSA(10%)寒天培地が適している.YCB-BSA(10%)寒天培地に接種されたC. albicansからその分泌パターンにより5型の酸性プロテアーゼが観察され,このうち,病原性のもっとも強い種類の酸性プロテアーゼは接種後72時間を経て分泌が始まるタイプのものである.このタイプの酸性プロテアーゼを分離精製すると,分子量44,000,至適pH 3.3,pH 7.2以上のアルカリ環境では速やかに変性する酵素であることがわかった.この酸性プロテアーゼを分離精製し,以後の研究に使用した.特異抗体は,この酵素をウサギに免疫し抗血清を作製し,アフィニティーカラムの操作により作製した.
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