理学療法と作業療法 4巻5号 (1970年10月発行)

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特集　第4回日本作業療法士協会学会から

座談会／第4回学会を顧みて山口　鞆音 , 和才　嘉昭 , 鈴木　明子 , 須賀　善良 , 番田　瑞子 , 内村　静子 4巻5号 , 1970年10月 , pp.304-311

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　司会　今回はじめて地方で行なわれたわけですが，まず学会長が第4回学会を引き受けられた際に，この学会の主題，つまりどういうものを主体にやっていこうとお考えになりましたか．

　和才　地方でする以上は，地方の特色，つまり地方色を出したいと思いました．

精神医学的OTの治療計画につい―セミナーⅠ 前田　重治 , 藤森　橲夫 , 浜野　夏子 , 内村　静子 4巻5号 , 1970年10月 , pp.313-321

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　内村　初めにきょうのテーマとしての‘精神医学的OT’という意味を申し上げたいと思います．それは精神障害者だけに限るものではなく，心理的アプローチを必要とするOT，別のことばで申しますなら精神障害者はもちろんですが，心理的不適応な患者に対するOTとして，広い意味で考えて使ってまいりたいと思います．

　次にどうしてこのテーマを選んだかと申しますと，今までこの学会で精神医学的OTについて有意義な勉強の機会を皆さんと得ることができましたが，なお多くの問題が残っていると思います．たとえばチームワークの問題，患者対治療者の人間関係など討議されなければならない問題があることを，私ども日常の経験の中で感じております．その中でも精神医学的OTの出発点についての疑問や問題点をいろいろお考えのかたも多いかと思います．そのようなことを講師のお話を聞きながら考えていきたいと思います．

脳性麻痺児の実際的治療方針について―セミナーⅡ ヴァルガス　サダコ , 森下　孝夫 , 宮崎　雅子 , 多田　洋子 , 鎌倉　矩子 4巻5号 , 1970年10月 , pp.323-329

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　司会鎌倉　このセミナーは，最初にヴァルガス先生から問題提起をしていただき，そのあと3人のかたがたから，できるだけ具体的な症例について，質問や，意見を出していただきます．そのあともう一度ヴァルガス先生に応答していただくというわけです．時間があって，会場の皆さんからもご意見をいただければ幸いと存じます．さっそくお願いいたします．

　ヴァルガス　皆さんよくご存じのように，CP児には，ありとあらゆる身体の機能の障害がみられます．運動機能の障害だけでなく，知覚運動の障害，知能低下，情緒障害，言語障害など，すべての機能に障害がみられてきます．

グラフ

WCPT・WFOT学会開催さる松村　秩 , 鈴木　明子 4巻5号 , 1970年10月 , pp.297-300

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とびら

まず手近なところより細川　忠義 4巻5号 , 1970年10月 , pp.301-302

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　十年一昔と言うが，PT・OTにあっても養成機関設立を初めとし，身分法の制定，学会の開催，機関誌の発刊と，ここ10年の間における変わりようは実にめざましいものがある．

　これに呼応して，医学的リハビリテーションの必要性が認識され，各地にそれらの施設を持った病院が増加し，この傾向は一般開業病院にまで波及してきた．そしてその内容も面目を一新し，リハビリテーション活動の一翼としてPT・OTがその重責をになう時代がやってきた．一方，患者側においても，これら設備のある病院を希望し，優秀なセラピストのいる病院を選択する傾向が強まってきている．

講座

木工（2）ヒラタ　ジャネット , ムラタ　デビッド 4巻5号 , 1970年10月 , pp.331-335

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　Ⅴ．身体障害者への治療として用いる木工

　身体障害者の治療の手段で，木工はセラピストも患者も同様に好んで用いるようである．セラピストは木工の道具や機械などを治療目的に合わせて，いろいろ適応させることを好むし，この分野で働く多くのセラピストの経験によれば，男性の患者も女性の患者も，訓練の方法として木工を受け入れている．

　木工によって得られる部分的訓練を除いて，OTはこの作業で，機能的再教育に向かう患者の動機づけを助けるものとして使用する．

脳性麻痺児の更衣の指導（2）鎌倉　矩子 4巻5号 , 1970年10月 , pp.337-342

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　指導上の注意

　更衣の訓練や指導にあたって考慮しておいたほうがよい事がらを，次にいくつかあげてみる．

誌上カンファレンス

頸髄損傷者の社会的・職業的リハビリテーションを目ざして寺山　久美子 4巻5号 , 1970年10月 , pp.343-349

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　Ⅰ．経過報告

　ソーシャルワーカーから

　司会　森○○男さんのケース会議を行ないます．はじめにソーシャルワーカーの方どうぞ．

　ソーシャルワーカー24歳の男性．頸髄損傷．S39年4月9日に，自動車に乗っていて電柱に衝突，頸椎第7骨折，救急病院に50数日間入院．退院後S41.3.31から41.12.22まで熱川温泉病院に入院．その後はずっと自宅療養．センターに来ましたのは44年6月3日で，その時の主訴は，ADLについて行き詰まり状態で，アドバイスが欲しいことと，訓練ができる施設を紹介してほしいということでした．方針会議の結果，我々としてはADLの工夫，とくにペンシルホールダー，衣服の工夫，ADLの訓練，車椅子の判定と訓練，施設入所の判定をしようということでした．方法は，最初の訪問指導に引き続いて2か月間の宿泊棟入所を決めました．今回，すべてのスケジュールを終えるにあたって，退所後自宅に帰るのがよいのか，施設にはいったらよいのかについておもに話し合ってほしいと考えます．

器具の管理

装具の手入れ栗原　延子 4巻5号 , 1970年10月 , pp.350

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　装具は，神経筋機能障害や筋骨格系障害などによって身体障害となった患者が，最大限にその残存機能を利用して，できるだけすみやかに日常生活への独立，もしくは社会復帰への到達を目ざすための補助的手段として，車イス，自動具，松葉杖などとともにしばしば使用されるものの1つである．

　身体障害を有する患者に対して，装具は体幹や身体の一部を支持すること，変形を矯正または予防すること，不随意運動をコントロールするなどの目的で医師より処方されるが，患者の障害の程度によりそれらは短下肢装具，長下肢装具，骨盤バンド付き両側長下肢装具，ナイト式脊椎装具などの形として用いられる．

粘土丸山　史泥 4巻5号 , 1970年10月 , pp.351

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　窯芸（陶芸）における粘土の保管は，ただ緩急的に保管するということでなく，いつも大事なことはその‘しかた’にあると思います．

　まず，2週に1回とか，月に1回とか，都合のよい日を‘整理’の日と決めて，その月のスケジュールの中に必ず入れておきます．

海外だより

イギリスの理学療法（1）―ドンカスター王立病院にて荻原　新八郎 4巻5号 , 1970年10月 , pp.355-360

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　長くうっとうしかった雨期もようやく明け，北大西洋と北海の間に浮かぶここブリテン島にも待望の夏がやってきた．晴れた日には人々は待ちかねたように庭や公園の芝ふに寝ころび，ここちよい微風を全身に受けながら，暖かい日ざしのもとに日光浴を楽しんでいる．私の英国滞在も18か月めを迎え，ようやくその気候風土や生活環境にも慣れてきたところだ．今回はその間に見たことや聞いたことに，働いて得た経験を織り込んで英国理学療法のだいたいの様子を思いつくままに書いてみる．

研究と報告

頸髄損傷患者の作業療法における経験小川　恭代 , 磯崎　彩美 , 細木原　博子 4巻5号 , 1970年10月 , pp.361-365

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はじめに

　当院では，作業療法棟開設以来約2年を経過し，現在16名の頸髄損傷患者（以後頸損と略す）の治療を行なっている．この16名の頸損の受傷原因としては，労働災害によるもの63％，交通事故その他によるものが37％となっている．傷害神経レベルでは，C_5-6，C_6-7が各5名で最も多い．

　今回，これら表1のような10名を対象にレベル決定，作業種目とADLについて，その内容を検討した結果，わずかではあるが成果がみられたので発表する．

精神科作業療法の中での即興劇―通称スタンツ尾林　滋子 , 鎌倉　矩子 , 野村　田鶴子 , 宮前　珠子 4巻5号 , 1970年10月 , pp.369-371

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はじめに

　私たちの病院における精神科作業療法は，クラフト，スポーツ，グループ・ワーク，スタンツの4つから成っている．

　そのうち，これまで2年間にわたり65回続けてきたスタンツについて，その経過および治療的意味などについて報告する．

書評

日本の風土にあった精神科OTの参考書「精神科作業療法」―高月病院長　小林八郎，他編井上　正吾 4巻5号 , 1970年10月 , pp.336

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　私は‘精神科作業療法’を非常に興味深く一気に読みとおした工人です．

　精神病院に入院中の患者は約25万，外来通院者はその5-10％と思われる．数少ない病院において作業療法が良心的に行なわれ，90％近くの患者がOTをうけているし，全国平均しても40％近いのではないか．それぞれOTに専従している人も1万近いはずで，その中には視野が狭く，職人的になりすぎていることを反省している人もいる．また指示を出すべき医師も大学や精神病院においても正式にOTの勉強をしていない．したがってOTに対する姿勢もまちまちで，中には‘食わずぎらいの人’‘誤解に基づき非難する人’もいる．リハビリテーション学院生や医学生にとっても，真に日本の精神病院の風土にあったOTの参考書がなかった．これらの人たちにうってつけの本がこの‘精神科作業療法’であり，出版はうれしいことである．

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話題／PT校，新たに大阪に開校 4巻5号 , 1970年10月 , pp.349

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　本校4月大阪の日本医学技術学校のなかに，新しくリハビリテーション科が設けられ，PT科の学生20名が入学した．これでPT養成校は全国で8校にふえた．

編集後記 4巻5号 , 1970年10月 , pp.372

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　リハビリテーション医学が進歩すればするほど，それに関与する人々がふえ，職種も細分化していくと思います．それ自体はたいへん喜ばしいことなのですが，ともすると，自分の職種においてのみ，その質を高めんと努力する傾向がありはしまいかという危惧を感じます．分化されたものを再び統合して，リハビリテーションという広い概念から，ものをみていくという面をも忘れてはならないでしょう．そして，更に，リハビリテーションの中央にいるのは，常に障害者自身であることに思いをいたさねばならないでしょう．

　最近，読者の方々から，ご意見やご投稿をいただくことが多くなり，編集部一同喜んでおります．よりよいものをめざして今後もがんばりたいと思います．

基本情報

理学療法と作業療法
4巻5号
(1970年10月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0386-9849 医学書院

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