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特集 脳卒中と理学療法・作業療法
片麻痺患者の上肢機能の予後と決定因子
Upper Limb Functional Prognosis and Determinant after Stroke Patient
斎藤 延男
1
Nobuo SAITOU
1
1甲州中央温泉病院
1Koushuuchuuouonsen Hospital.
pp.791-795
発行日 1977年11月15日
Published Date 1977/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518101575
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はじめに
脳卒中後,片麻痺患者のリハビリテーションを施行する上で,上肢機能は復職を前提とする様な場合においてもゴール設定上重要な因子になる事は少い.この理由は,日常生活動作が,又,ある種の職業が機能欠損部分の代償を動作の工夫と自助具により解消されることからもきている.諸家の分析によると廃用手に終るのが50~60%の高率になっており,補助手,実用手に達するには発症後,少くとも2~3ヵ月以内に分離運動が出現しなければ予後不良であると定設化されている.歩行機能は90%以上が可能になるに比し,上肢機能は運命論的にならざるを得ない所がある.
真の運動麻痺と思われる例で,知覚,感覚,筋トーヌス・可動域・等で正常に有しており,Brunnstrom stageにて5にありながら,ADLにおいて全く使用する事がない症例に合うと上肢機能のとらえ方の難かしさに戸惑うものである.意識的に患側丈を動かして評価するとこの様な例にぶつかり,両手動作の様なテストも行なってみなければならない.更に補助手より実用手に至る軽度の不全麻痺の場合においてもスピード動作,視覚情報に対する反応の速さも評価されないと実用度を推測するに十分でない.
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