書評
日本の風土にあった精神科OTの参考書「精神科作業療法」―高月病院長 小林八郎,他編
井上 正吾
1
1三重県立高茶屋病院
pp.336
発行日 1970年10月9日
Published Date 1970/10/9
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1518100363
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私は‘精神科作業療法’を非常に興味深く一気に読みとおした工人です.
精神病院に入院中の患者は約25万,外来通院者はその5-10%と思われる.数少ない病院において作業療法が良心的に行なわれ,90%近くの患者がOTをうけているし,全国平均しても40%近いのではないか.それぞれOTに専従している人も1万近いはずで,その中には視野が狭く,職人的になりすぎていることを反省している人もいる.また指示を出すべき医師も大学や精神病院においても正式にOTの勉強をしていない.したがってOTに対する姿勢もまちまちで,中には‘食わずぎらいの人’‘誤解に基づき非難する人’もいる.リハビリテーション学院生や医学生にとっても,真に日本の精神病院の風土にあったOTの参考書がなかった.これらの人たちにうってつけの本がこの‘精神科作業療法’であり,出版はうれしいことである.
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