産科と婦人科 87巻4号 (2020年4月発行)

選択した文献の文献概要を表示する書誌情報をダウンロードする

すべて選択

特集　産婦人科医も知っておきたい旅行医学関連の諸問題～東京オリンピック･パラリンピックに向けて

女性と旅行医学小川　富雄 87巻4号 , 2020年4月 , pp.373-375

PDF(581KB)

有料閲覧

文献概要を表示

海外旅行の広がりとともに、世界中で様々な感染症がこれまでにない早さで広がっている。女性の旅行で、最も問題となるのは旅行に伴う感染症を防ぐことで、特に妊娠中、前後の感染症は妊婦とその児に重大な影響を及ぼす可能性があり、予防には特別な対策を旅行のかなり前から取ることが必要である。本稿では女性診療の現場において必要な、(1)妊娠前の予防接種、(2)妊娠中の旅行の注意、(3)海外での出産、(4)小児の帯同、(5)日焼け、(6)熱中症について記載した。

外国人受診者の対応上の注意点堀　成美 87巻4号 , 2020年4月 , pp.376-380

PDF(430KB)

有料閲覧

文献概要を表示

国の政策や自治体の誘致策によって各地で短期･長期に滞在する外国人が増加している。外国人といってもその在留資格･保険･対応言語によって備えが異なり、特に日本の健康保険証のない訪日客では医療機関は未収金防止と医療安全確保のための通訳体制の整備が重要である。しかし、地域や医療機関によって対応すべき事案や優先順位も異なるため、標準的なマニュアルやほかの医療機関のマニュアルは活用が難しいことがある。スタッフが把握している問題点や地域の住民データをもとに対策を立案すること、またその際には｢できること｣｢できないこと｣の整理も重要である。一医療機関では解決できない課題解決のためのactionも皆で取り組もう。

海外渡航者の診察時に注意すべき感染症宇野　俊介 87巻4号 , 2020年4月 , pp.381-385

PDF(416KB)

有料閲覧

文献概要を表示

海外からの入国者はここ数年で急増しており、また妊娠中に海外へ旅行する者もいることから、海外から入国後の患者が産婦人科を訪れる可能性もある。産婦人科医にとって記憶すべき重要なことは、症状があって受診する患者ではルーチンに海外渡航歴を聴取すること、マラリア流行地からの入国後の発熱はマラリアの可能性があること、の2点である。また、輸入感染症の流行状況やマラリア流行地かどうかは、記憶する必要はなく、その都度調べればよい。忙しい臨床の合間にすぐに調べられるように、アクセスすべきインターネットサイトを理解していれば十分である。ほかの輸入感染症に関しては、身近な感染症の専門家に相談するのが望ましい。

医療通訳の現状と問題点森田　直美 87巻4号 , 2020年4月 , pp.386-391

PDF(393KB)

有料閲覧

文献概要を表示

医療通訳とは、異なる言語や文化をもつ医療従事者と外国人患者の間に入り、意思疎通を成立させることである。しかし医療通訳者が活動する現場で、外国人患者が直面するのは言葉の壁ばかりではなく、医療文化や習慣、制度の違い、情報格差や患者-医師間の力の不均衡もある。意思疎通を成立させるために、外国人患者特有の背景を理解しておくことも役立つ。また、言葉以外の障壁で患者が困ることがないように関係者につなぎ、患者に寄り添うことも医療通訳者の務めだと考える。

医療ツーリズムの現状と問題点寺野　彰 87巻4号 , 2020年4月 , pp.392-398

PDF(764KB)

有料閲覧

文献概要を表示

今年、2020年、わが国東京でオリンピック･パラリンピックが開催される。ここで問題となるのは、外国から来る選手や観客の健康である。同時に外国からの感染症もわが国に入ってくる機会でもある。またわが国の医療を国際的に展開することのできる機会ともなる。わが国には、観光医療に関する学会や研究会が数多くあり、これらの問題点をそれぞれの立場から検討している。厚生労働省、文部科学省をはじめとする各省庁もこのスポーツ祭典中の選手や観光客の健康、さらにはわが国への輸入感染症の発生について強い関心をもっている。本稿では、その中で国際観光医療学会を中心として問題点を探りその対策を検討したいと思う。

外国人患者の未収金問題二見　茜 87巻4号 , 2020年4月 , pp.399-405

PDF(985KB)

有料閲覧

文献概要を表示

医師法第19条には、｢応召義務｣として｢診療に従事する医師は、診察治療の求があった場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない｣と規定されており、外国人だから、日本語が話せないから、保険証をもっていないからという理由で、診療を拒否することはできない。拒否することができないのであれば、安全に診療するために、未収金対策を講じて、外国人患者受け入れ体制整備を進めていかなくてはならない。未収金は、｢準備｣と｢適切なコミュニケーション｣で予防することができる。本稿では、未収金対策の基本をわかりやすく説明する。

いわゆる時差ボケとその対策白川　修一郎 , 松浦　倫子 87巻4号 , 2020年4月 , pp.406-411

PDF(390KB)

有料閲覧

文献概要を表示

東京オリンピック･パラリンピック2020では、海外からのアスリートを含む多くの訪日客が見込まれている。アスリートや訪日客の中には、いわゆる時差ボケ(時差障害)で体調を崩す人もいる。時差障害の本質と原因、および心身へのリスクについて概説し、時差障害の時間生物学的側面からの対処法について説明する。

エコノミークラス症候群(ロングフライト血栓症) 上芝　元 87巻4号 , 2020年4月 , pp.412-414

PDF(338KB)

有料閲覧

文献概要を表示

エコノミークラス症候群とは、下肢の深部静脈血栓症と肺血栓塞栓症を含む静脈血栓塞栓症である。長時間の航空機旅行中に同じ姿勢を長くとることにより血流が停滞することが誘因になって発症する。静脈血栓塞栓症ができる要因として、血液凝固能の亢進、静脈血流のうっ滞、静脈血管壁の障害の3つが重要とされている。多くの場合、下肢の運動を行うことで予防可能である。静脈血栓塞栓症の発症リスクが高いと考えられる場合は、弾性ストッキング着用や予防的抗凝固薬投与などが検討される。

妊婦の旅行時の注意点山本　祐華 87巻4号 , 2020年4月 , pp.415-418

PDF(1038KB)

有料閲覧

文献概要を表示

妊娠中の遠方への旅行は出産前のラストチャンスと外出を試みる妊婦も多い。検討する時期としては妊娠14～28週の安定期、妊婦が負担を感じない方法での移動を考慮する。飛行機は有意に血栓症のリスクを増加させる。妊娠中に適用となる保険も限られているため、事前準備が必要である。遠方での不慮の出来事で入院となることもあり、そのリスクを理解したうえで責任ある行動が望まれる。

海外旅行に伴う性感染症小西　啓司 87巻4号 , 2020年4月 , pp.419-424

PDF(461KB)

有料閲覧

文献概要を表示

海外旅行は性感染症の感染の機会が増えるとされている。また海外での性感染症の広がりは原因微生物、頻度ともに国内と大きく異なる。どの渡航者が性感染症の感染リスクが高いかを見極めることは難しく、ジェンダー、年齢にかかわらず性的活動性に関する安易な仮定は禁物である。医師は渡航関連の体調不良患者を診療する際には常に性感染症の可能性も念頭において性交渉歴を聴取するべきであり、疑いがある場合は積極的な性感染症の検索が必要である。さらに渡航前に性感染症の予防について啓発することも重要である。

海外渡航者への投薬上の注意点櫻井　眞理子 87巻4号 , 2020年4月 , pp.425-430

PDF(1134KB)

有料閲覧

文献概要を表示

海外渡航について相談があった際、常用している薬については渡航先で服用が中断せぬよう十分量持参させ、英文処方証明書を携帯させる。滞在が長期にわたる場合は、渡航先の医療機関でも継続処方が可能かどうか確認する。海外への携行に制限のある薬についての情報を確認し、患者があらぬトラブルに巻き込まれないよう留意する。渡航中の健康問題に対応できるように、市販薬や衛生用品を用意させる。

渡航ワクチンの考え方とトラベルクリニックのあり方宮津　光伸 87巻4号 , 2020年4月 , pp.431-439

PDF(604KB)

有料閲覧

文献概要を表示

渡航ワクチンの選択は年齢や準備期間、渡航先と期間、その行動などを基準に適切に要領よく計画的に接種する。破傷風の追加は無用でDPTを接種する。A型肝炎･B型肝炎の特徴と日本脳炎さらに狂犬病の考え方を中心に説明した。麻疹風疹おたふくかぜ水痘の抗体検査で無駄な接種を控える。渡航ワクチンの特徴とその目的を考えて個人ごとに必要な選択をする。成人でも母子手帳の確認と記録は必要。接種記録は英語表記で作成する。

海外での病院のかかり方　先進国をモデルとして篠塚　規 87巻4号 , 2020年4月 , pp.440-444

PDF(1016KB)

有料閲覧

文献概要を表示

海外での病院のかかり方は、(1)先進国ではそのシステムを知っておくこと、(2)途上国では個々の病院情報が必要である。一般に日本人は"日本語の通じる"という小さなクリニックに誘導され、脳卒中や心筋梗塞で手遅れになるケースが少なくない。旅行用診断書を用意し、英語で適切な医療機関にかかるよう産業医や留学担当者は指導するべきである。

英文医療情報提供書の書き方田村　謙太郎 87巻4号 , 2020年4月 , pp.445-453

PDF(549KB)

有料閲覧

文献概要を表示

英文で診療情報提供書(以下、紹介状)を書くというのは、慣れていない先生方には非常に手間がかかる作業のように感じられると思います。しかし2020年東京オリンピック･パラリンピックを契機に、外国人患者を診療する機会はますます増えて、英文での紹介状を書かざるを得ない状況に直面することも多くなるかと思います。そこで本稿では英語が苦手という先生方でも、簡単に英文の紹介状が書けるように基本的な書式について説明したいと思います。

最近の国際テロリズム情勢増田　一人 87巻4号 , 2020年4月 , pp.455-460

PDF(837KB)

有料閲覧

文献概要を表示

日本のマスコミでは最近あまり報道されていないが、イスラム過激派組織｢イスラム国(IS)｣をはじめとする過激派武装勢力らによるテロや銃乱射事件、誘拐事件、デモや暴動などは連日のように世界各地で発生しており、実際、外国人や日本人も多数巻き込まれている。テロの多くは、レストランや観光地、イベント会場などのいわゆる｢ソフトターゲット｣を標的とした無差別的犯行であるため、いつ･どこで･誰がテロに巻き込まれてもおかしくはないのが現状である。また、2020年の東京オリンピック･パラリンピックでは、世界各国から外国人観光客らが多数来日すると思われるが、テロリストが観光客らに紛れ込んで来日する可能性もゼロとはいえない。最近の国際テロリズム情勢について説明するとともに、リスクを下げるために何に気をつけるべきかを案内したい。

原著

帝王切開術後創部感染におけるリスク因子の検討北野　佐季 , 奥野　健太郎 , 八木　茉莉 , 村上　淳子 , 鈴木　陽介 , 中村　涼 , 高尾　映美子 , 松元　香揚子 , 早田　憲司 87巻4号 , 2020年4月 , pp.468-472

PDF(409KB)

有料閲覧

文献概要を表示

帝王切開術後にSSIが発生した患者を後方視的に検討しSSIリスク因子を抽出した。帝王切開術を行った1,143例に対して手術時間･緊急性･破水･術後白血球値などの各因子に対してSSIの有無で2群に分け検討した。39例(3.4%)でSSIを発症し破水･緊急･分娩停止では有意差を認め、術後1、5日目の白血球数はSSI発症例で有意に上昇していた。破水･緊急･分娩停止はSSIリスク因子といえ術後白血球数の高い症例は経過をより慎重に観察する必要がある。

ホルモン補充療法(HRT)にレボノルゲストレル放出子宮内システム(LNG-IUS)を利用している患者数の実態把握高橋　法子 , 秋山　紗弥子 , 近藤　雅美 , 篠田　現 87巻4号 , 2020年4月 , pp.473-479

PDF(412KB)

有料閲覧

文献概要を表示

HRTにLNG-IUSを使用している患者を把握するために疫学調査を実施した。その結果、患者組み入れ期間内に処方された計6,322例のLNG-IUSのうち、102例がHRT目的で使用されていると推測された。95例は過多月経･月経困難症治療のためLNG-IUSが処方されたものの、時間の経過とともに更年期症状が出現したため、LNG-IUSを除去することなくHRTの黄体ホルモン剤として使用していたと推測された。また、残り7件は、当初よりHRT目的のために使用された可能性があった。

基本情報

産科と婦人科
87巻4号
(2020年4月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0386-9792 診断と治療社

お気に入り登録(雑誌)
お気に入り登録(号)
最新号をみる

バックナンバー ( 閲覧可 )

文献閲覧数ランキング(
11月10日～11月16日
)

第1位子宮体部腫瘍　悪性度不明な平滑筋腫瘍(STUMP) 田邉康次郎,新倉仁産科と婦人科 88巻 2号 pp. 165-170 (2021年2月1日) 診断と治療社
第2位 10．卵巣癌治療後のHRTは推奨されるか？佐藤美紀子産科と婦人科 92巻 8号 pp. 902-906 (2025年8月1日) 診断と治療社
第3位腫瘍卵巣明細胞がんで静脈血栓塞栓症が多いのはなぜ? 佐藤豊実産科と婦人科 89巻 10号 pp. 1119-1123 (2022年10月1日) 診断と治療社
第4位 (第9章)皮膚科･形成外科　高度肥満女性の創部離開榊原俊介,辻依子,寺師浩人産科と婦人科 89巻 13号 pp. 384-389 (2022年3月25日) 診断と治療社
第5位 8　HELLP症候群―Mississippiプロトコルについて― 小寺千聡,近藤英治産科と婦人科 91巻 13号 pp. 325-329 (2024年3月25日) 診断と治療社
第6位黄体ホルモンの基礎　黄体ホルモンの分類北脇城産科と婦人科 89巻 9号 pp. 911-917 (2022年9月1日) 診断と治療社
第7位 5．月経前症候群における痤瘡と桂枝茯苓丸加薏苡仁（125）濵口まりえ,常田洋平産科と婦人科 90巻 1号 pp. 33-39 (2023年1月1日) 診断と治療社
第8位 11．慢性疼痛に対する鍼灸治療伊藤和憲産科と婦人科 90巻 6号 pp. 643-647 (2023年6月1日) 診断と治療社
第9位 9．婦人科患者の骨盤腹膜炎・汎発性腹膜炎への対応宮﨑博章産科と婦人科 91巻 7号 pp. 787-790 (2024年7月1日) 診断と治療社
第10位 13．臍帯クランプ：遅延 vs. 早期篠原枝里子産科と婦人科 90巻 5号 pp. 524-528 (2023年5月1日) 診断と治療社

投稿規定

産科と婦人科 87巻4号 (2020年4月発行)

特集 産婦人科医も知っておきたい旅行医学関連の諸問題～東京オリンピック･パラリンピックに向けて

原著

基本情報

バックナンバー ( 閲覧可 )

文献閲覧数ランキング( 11月10日～11月16日)

特集　産婦人科医も知っておきたい旅行医学関連の諸問題～東京オリンピック･パラリンピックに向けて

文献閲覧数ランキング(
11月10日～11月16日
)