病院 76巻10号 (2017年10月)

特集 医師の働き方改革

巻頭言 渋谷 健司
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 今,「働き方改革」が大きな社会的課題となっている.医師の働き方もその例外ではない.わが国の医療供給体制は,人口・社会経済の構造的な変化のスピードに十分に対応しきれておらず,医療現場では,過重労働や超過勤務が恒常化し,現場従事者の負担に過度に依存して成り立っているからだ.

 厚生労働省では,2017年4月に「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会」(以下,ビジョン検討会)による提言書が公表された.そして,同年8月からは「医師の働き方改革に関する検討会」が始まったところである.医師については,医師法に基づく応召義務などの特殊性を踏まえた対応が必要であり,時間外労働規制の対象とする一方,改正法の施行期日の5年後を目途に規制を適用することとされている.そのために,2年後を目途に規制の具体的な在り方,労働時間の短縮策などについて検討し結論を得るための具体的プロセスが始まった.

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●地域における医療提供体制が変化していく中,「医療従事者の需給に関する検討会 医師需給分科会」において医師の需給,偏在対策について検討を行っている.

●今後,わが国の医療を取り巻く環境が大きく変化していくことを踏まえ,「新たな医療の在り方」とこれを踏まえた「医師・看護師等の働き方・確保の在り方」についてのビジョンがとりまとめられた.

●医師の需給,偏在対策の検討においては,医師養成の在り方や医師の働き方改革の議論の趨勢も踏まえながら議論を進めていくこととなる.

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●日本で働く医師に対し,現在の働き方や将来のキャリア選択に関する10万人規模のアンケート調査を実施し,15,766名から回答を得た.

●タイムスタディを行った一週間を通じて,多くの医師で過重労働や超過勤務が継続している状況が常態化していることが明らかとなった.

●地方勤務について,「意思あり」との回答は44%に上り,若い医師ほど高い傾向にあった.加えて,半年や1年という短期勤務の希望はどの年代でも少なく,比較的長期の希望が大半であった.

●地方勤務の障壁は年代と共に変化し,20代医師は,「専門医資格の取得」が特徴的.30・40代医師は,「子どもの教育」が多かった.どの年代でも「仕事内容」,「労働環境」は共通の障壁であった.

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●病院と医師の契約の法形式にかかわらず,使用従属関係の下で労務提供がされている実態があれば,医師は労働基準法にいう労働者であり,労働基準法の労働時間規制が適用される.

●労働基準法の労働時間規制は当事者間の合意で排除できない.病院(使用者)は労働基準法を踏まえた就業規則の整備と雇用管理が必要である.

●働き方改革実行計画に基づき,長時間労働の是正が求められている.働き方を変えるには労働時間規制も重要であるが,「長時間労働は当たり前」との意識を改め,個々の医師の過重負荷を軽減する対応が必要である.

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●なぜ今,働き方改革なのか:より良い医療機関を創るためには,より良い職員に集まってもらうのが鉄則であり,そのために職員が働く場の環境整備は必須である.

●労働生産性の上げ方:職場における日常業務での労働生産性の向上について,マネジメントの視点から3つの基本的なポイントをお伝えする.

●多様性を生かす職場へ:女性や非常勤職員は人材の宝庫であり,さまざまな人を活かす視点こそが改革の要諦である.

●「働かされ方改革」になっていないか:改革の主体は医療職自身であり,押し付けの改革でなく,現場・経営・政策の三位一体での取り組みが大切である.

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●聖路加国際病院は平成28年6月,中央労働基準監督署の立ち入り調査を受け,医師の時間外労働を短縮するよう指摘された.

●病院の経営管理上のさまざまな対応策を実施するとともに,医師の意識変革・協力を求めた.

●医師の仕事を時間管理することは,法的・倫理的・手続き上の困難な問題をはらんでおり,慎重かつ丁寧な対応が望まれる.

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●強制配置による医師の地域偏在の解消には疑問が残る.当院が行っている都市部とへき地を医師が行き来する循環型医療システムによる解決が注目されている.

●へき地医療の課題解決には「在宅医療の導入」「医師が疲弊しないシステム」「ICT活用による情報共有と方針の統一」の3つのポイントがある.

●医師の地域偏在を解決する方法として,「疲弊しないシステムと働き方の構築」「へき地勤務を可能にする研修プログラム」「働く場所のマッチングシステム」の3つの方法がある.

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医師の働き方は,変革の時を迎えている.

消費され,疲弊する医療から,高い生産性と付加価値を生み出す医療へ─.

鍵は,若年世代で3割を占める女性医師である.

女性医師が活躍するために,病院はどうあるべきかを問う.

連載 アーキテクチャー×マネジメント・34

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■設立の経緯

 船橋市立リハビリテーション病院(以下,同院)は,三次救急救命センターを有する船橋市立医療センター(急性期・499床.以下,医療センター)や医師会,市民からの要望・陳情により,船橋市初のリハビリテーション専門病院として,2008年4月に開設した.

 船橋市に新病院の整備が目指される中で,2004年,「リハビリテーション病院設置・運営形態検討委員会」は,①医療センターとの連携や高額検査機器の共同利用を考慮した立地,②発症早期から集中的にリハビリテーション(以下,リハ)を行う回復期リハ病棟としての運営,③地域リハ体制の構築,④公設民営型による病院運営,などを含む「最終取りまとめ」を発表した.これらの提言を受けて,船橋市は医療センターの道路向かいの敷地に公募型設計プロポーザル方式によって病院を整備し,2006年3月,医療法人社団輝生会が指定管理者に選定された.

連載 ケースレポート

地域医療構想と民間病院・18

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 本連載第16回1),第17回2)と同様,本稿で使用する図表や記述は福岡県地域医療構想3)で記載されているものである.その内容は県のホームページからダウンロード可能である.また,調整会議開始に当たって,福岡県医師会が行った合同研修会の資料は産業医科大学公衆衛生学教室のホームページ4)に掲載している.適宜参照していただければと思う.

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 2025年に向けてさらなる在宅医療などの推進を図っていくために,医療処置などが必要な患者・在宅療養者に対して,医師または歯科医師の判断を待たずに手順書により一定の診療の補助を行う看護師を養成・確保していく必要があるとして,国は保健師助産師看護師法(以下,保助看法)の改正を行い,特定行為に係る看護師の研修制度(以下,本制度)を創設した.この制度は2015年10月から施行されており,すでに修了者が病院および施設や在宅で活動を始めている.

 しかし,特定行為は「診療の補助行為」であり,手順書によらず医師または歯科医師の具体的な指示のもとに実施する場合には,従来通りにこの行為を実施することができるとしている.そのため,従来の診療の補助業務としての看護実践との違いが患者・家族・他の医療職にわかりにくく,研修への理解が進まないとの指摘もある.また,現在の特定行為は医療処置が多いことから,専らこれらの行為を業務として行うことになると本来の看護師としての業務から乖離するという懸念もある.

 ここでは,本制度を概観し,看護師がチーム医療の中で看護師として本制度をいかに活用していくか,そのための課題について述べる.

連載 病院勤務者のためのDPCデータ解析入門(番外編)・3

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■はじめに

 今回は平成29(2017)年5月24日の「中央社会保険医療協議会[中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会).以下,DPC評価分科会]」に提出された「1.DPC対象病院の現況について」の資料から「機能評価係数Ⅱ」の分析方法について解説する.

 DPCに参加している医療機関には医療機関別係数が付与されており,DPC点数表の点数に,この医療機関別係数を乗じた点数が請求点数となる.医療機関別係数には現在「基礎係数」「暫定調整係数」「機能評価係数Ⅰ」「機能評価係数Ⅱ」の4種類がある.このうち「機能評価係数Ⅱ」は,現在のところ毎年度見直し改定があり,その他の3種類は診療報酬改定と同時に見直しが行われている.しかしながら,来年度[平成30(2018)年4月]の診療報酬改定時には「暫定調整係数」が廃止され,「機能評価係数Ⅱ」に置き換わることが決まっている.これによって機能評価係数Ⅱの医療機関別係数に占める割合が大きくなることから,診療報酬全体に与える影響も大きくなってくる.また,機能評価係数Ⅱは指数的な意味合いが強いことから,ベンチマーク分析による自院の立ち位置と方向性を確認することができる.

 そこで今回は,DPC評価分科会などで公表されている「基礎係数」「暫定調整係数」「機能評価係数Ⅱ」を使ってベンチマーク分析を行う.

連載 多文化社会NIPPONの医療・1【新連載】

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■「外国人患者は何人受診しているか」という質問

 ここ数年,外国人患者受け入れに関する同じような調査用紙が病院に送られてくるようになった.公費の委託を受けた研究機関のものもあれば,大学のゼミナールの課題調査もある.そして,たいてい冒頭の質問は「1年間にどれくらい外国人患者が受診しているか?」となっている.この質問にすぐに回答できる医療機関はどれくらいあるだろうか.

 筆者が勤務する国立国際医療研究センターは,その名前に「国際」とあり,「外国人の多い新宿にあるから,さぞかしたくさんの外国人が受診しているのでしょうねえ」と言われることが多い.しかし,2017年1月に新しいシステムに入れ替えるまで,集計は手作業に近く,現場スタッフの負担が増えていく中で情報の精度には問題があった.他の日本の病院と同じく,初診受付の際に国籍や母国語,日本以外の保険の加入状況などを確認もしていないし,データーベースに入力もされていなかったためである.

連載 赤ふん坊やの地域ケア最前線!—病院と地域のかかわりを学ぶ旅・[17]

石川県加賀市 河合 篤史
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 石川県南部の加賀市では,市立病院の再編統合をきっかけに,病院地域連携室,市地域包括支援サブセンター,市地域医療政策担当部署が一体となった新しいカタチの地域連携センターが立ち上がったんだ! 連載第17回目の今回は,これからの時代の行政・医療が一体となってよりよい地域連携を追求する,加賀市医療センターの取り組みを紹介するね! 再編統合からセンター立ち上げまでを精力的に牽引された,河合篤史副市長にお話を聞きました!

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病院
76巻10号 (2017年10月)
電子版ISSN:1882-1383 印刷版ISSN:0385-2377 医学書院

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