連載 医療と法の潮流を読む・5
特定行為研修制度創設—看護として制度を生かすために
酒井 美絵子
1
,
宇都木 伸
2
,
三木 知博
3
1武蔵野大学看護学部看護学科
2東海大学
3武庫川女子大学
pp.798-802
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210569
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2025年に向けてさらなる在宅医療などの推進を図っていくために,医療処置などが必要な患者・在宅療養者に対して,医師または歯科医師の判断を待たずに手順書により一定の診療の補助を行う看護師を養成・確保していく必要があるとして,国は保健師助産師看護師法(以下,保助看法)の改正を行い,特定行為に係る看護師の研修制度(以下,本制度)を創設した.この制度は2015年10月から施行されており,すでに修了者が病院および施設や在宅で活動を始めている.
しかし,特定行為は「診療の補助行為」であり,手順書によらず医師または歯科医師の具体的な指示のもとに実施する場合には,従来通りにこの行為を実施することができるとしている.そのため,従来の診療の補助業務としての看護実践との違いが患者・家族・他の医療職にわかりにくく,研修への理解が進まないとの指摘もある.また,現在の特定行為は医療処置が多いことから,専らこれらの行為を業務として行うことになると本来の看護師としての業務から乖離するという懸念もある.
ここでは,本制度を概観し,看護師がチーム医療の中で看護師として本制度をいかに活用していくか,そのための課題について述べる.
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