連載 多文化社会NIPPONの医療・1【新連載】
なぜ外国人患者が増えるのか—オリンピックは目標でもゴールでもない
堀 成美
1,2
1国立国際医療研究センター 国際感染症センター
2国立国際医療研究センター国際診療部
pp.810-811
発行日 2017年10月1日
Published Date 2017/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541210571
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■「外国人患者は何人受診しているか」という質問
ここ数年,外国人患者受け入れに関する同じような調査用紙が病院に送られてくるようになった.公費の委託を受けた研究機関のものもあれば,大学のゼミナールの課題調査もある.そして,たいてい冒頭の質問は「1年間にどれくらい外国人患者が受診しているか?」となっている.この質問にすぐに回答できる医療機関はどれくらいあるだろうか.
筆者が勤務する国立国際医療研究センターは,その名前に「国際」とあり,「外国人の多い新宿にあるから,さぞかしたくさんの外国人が受診しているのでしょうねえ」と言われることが多い.しかし,2017年1月に新しいシステムに入れ替えるまで,集計は手作業に近く,現場スタッフの負担が増えていく中で情報の精度には問題があった.他の日本の病院と同じく,初診受付の際に国籍や母国語,日本以外の保険の加入状況などを確認もしていないし,データーベースに入力もされていなかったためである.
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