臨床眼科 28巻2号 (1974年2月)

特集 第27回日本臨床眼科学会講演集 (その2)

第27回日本臨床眼科学会講演集目次
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講演

アルゴンレーザー光凝固について

 その1.試作光凝固機における諸問題………………野寄喜美春・他…205

Toxoplasnia性眼疾患の治療経過と

 治療後の長期追跡結果について……………………石川 明…211

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緒言

 アルゴンレーザー光凝固については,すでに多くの報告1)があり,とくに1970年にLittle2)等によつて細隙灯顕微鏡とアルゴンレーザーを組み合せた実用型の光凝固機が製作されてから急速に発達した。最近では,主としてアメリカにおいてアルゴンレーザー光の特性,すなわち凝固能率の良いこと,高エネルギーで集束性の強いこと,血液に吸収率の高いこと等を利用して後極部の精密凝固および小血管の凝固閉塞に応用されている3)。またわが国でも昨年からCoherent Ra—dition Model 800アルゴンレーザーコアグレーターが試用され好結果をえている。

 著者は,すでに1968年に国産のアルゴンレーザー装置を用いた光凝固の実験について報告したが,えられた出力が少なく(最大100 m.W.以下)実用にはいたらなかつた。しかし最近装置の主要部である放電管の国産化が完成し,アメリカと同様に2Wのアルゴンレーザー装置が比較的容易に製作されるようになつた。私たちは,これらの装置を利用してアルゴンレーザー光凝固機を試作し実験を行なつた。

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緒言

 国際交流の広域化による諸環境の変化に伴い,国内における疾患に新しい病名が増加したことは事実である。Toxoplasmosis (以下Tp症と略す)もその一つといえる。Toxoplasmaは1908年,始めて動物から検出され,その後1937年Wolf,1941年Sabin等によつて人体より分離されるに至つて,急に世界の脚光を注びるに至つた。わが国においても,1955年宮川,1956年松林,中山などにより,人体から虫体が確認された。その後眼科領域においては鬼木などにより,詳細な研究が報告された。

 筆者は,長期にわたつてTp症患者を治療観察する機会をえたので,その概要を報告する。

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緒言

 乳幼児の失明原因として最近わが国でも重視されている未熟児網膜症は,1942年にTerryが未熟児の水晶体の後部に灰白色膜状組織がある失明例を報告1)したのに始まる。本症はその後,すなわち1940年から1950年頃にかけて主に米国において多発し,乳幼児失明の大きな原因となつた。未熟児網膜症の本態は当初は先天的異常に基くものと考えられていたが,Owens2)などにより後天性疾患であることが証明され,その後種々な実験的研究と臨床的観察の結果,未熟児保育時の酸素補給と深い関係があることが判明した。このため1954年に到つて3),米国では未熟児保育時に厳しい酸素補給の制限が行なわれ,本症の発生は激減をみた。しかしその発生が全くなくなつたわけではない。最近の未熟児保育の進歩とともに,1500g以下の低体重児の生存率が向上し,低体重児に発生しやすい呼吸障害症候群(RDS)に対して高濃度の酸素療法が不可欠であることが強調され,再び本症の発生が増加して来ている。わが国においては,米国が体験した前回の多発を免れることができたが,次に起こつて来ている本症の発生増加は避けることができない。しかし幸いにも永田により活動期未熟児網膜症に対する光凝固療法が発表1)され,その後広く追試されて,その有効性が認められるに到つている。このため「眼か,生命か」という未熟児室担当医のジレンマに一つの解決法が見出されたわけである。

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緒言

 網膜血管閉塞症は浮腫や出血を起こして高度の視力障害を生ずることが多いため,早期に適確な治療を行なうことが必要である。網膜血管閉塞の原因の多くは血栓形成1)であるといわれ,この観点から近年抗凝固剤や線維素溶解酵素剤が使用されている。一たん発生した血栓を溶解する目的からすれば,なるべく早い時期に線維素溶解酵素剤を使用することが理想的である。著者らは,線維素溶解酵素賦活剤であるurokinaseを眼局所へ早期に大量投与したいという意図のもとに連日球後注射した。その結果視力,網膜循環動態の著明な改善,浮腫や出血の吸収を認めたので報告する。網膜血管閉塞症の成因を考える上から本症患者の血中凝固能および線溶能を知ることは重要であり,本症患者のurokinase使用前後の線溶能も検索した。また本症が比較的高齢者に発症して高血圧や動脈硬化症を有することが多いので,網膜血管閉塞症を有しない高血圧者103名の網膜血管の硬化度と血中凝固能および線溶能を検査した。

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緒言

 いろいろの眼疾患において,房水蛋白の濃度および分画が変動することが知られており,古くから諸家により研究されて来た。しかし房水の採集量が極微量でしかも低濃度の蛋白しか含まれていないため精密な生化学的研究が非常に困難である。

 現在もつとも鋭敏で再現性に秀れ,極微量の蛋白が泳動できるといわれるアクリルアミドディスク電気泳動法が房水蛋白分画を分離する目的で使用されるようになり,Hemmingsen1),向井2),著者3)らの報告がある。しかしこの方法による種種の眼疾患における房水についての検討は余りなされていないため,著者は今回老人性白内障,単性緑内障,ザルコイドージス,ベーチェット病,原因不明の葡萄膜炎の房水蛋白について検討を行なつたので報告する。

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緒言

 水晶体は主として房水により栄養されており,房水組成の異常は水晶体の代謝障害すなわち白内障発生の直接的原因となりうる。いわゆる併発白内障がこれに相当するものと考えられるが,併発白内障発生機構解明の一つの手段としてブドウ膜炎によると思われる併発白内障,老人性白内障,糖尿病患者の白内障及び正常者の房水,血清組成について比較検討を行なつた。

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緒言

 水晶体後嚢と硝子体との癒合状態の観察は白内障研究の観点からも興味ある問題である。著者らは,前回この2組織が剥離しにくい家兎につき電顕的検索を試みたが,今回はさらに剥離しやすい人眼につき,とくに60歳以上の高齢者にしぼり剥離しないよう多少の工夫をこらし電顕的観察を行ない,若干の知見をえたので報告する。

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緒言

 白内障の冷凍摘出は1961年Krwawicz1)の発表以後,急速に改良普及したが,その手術時の輪部切開の大きさに関して,半周以上を可とする意見から1/4周でよいとするものまで,さまざまな見解が内外において述べられた2〜6)。しかしそれらの見解は必ずしもdataに立脚して示されたものではなく,また小切開による全摘出への批判は硝子体脱出および破嚢の危険増大の指摘にあるので,私は実施した各種の大きさの切開による白内障全摘出の成績を纒め,それらの問題を中心に検討し一応の知見をえたので報告する。

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緒言

 水晶体が硝子体内,前房内あるいは結膜下に脱臼することは眼外傷の中で頻度の高いものではないが,さりとてまれなものでもない1)

 外傷の力,方向および加わり方によつて水晶体脱臼の程度はいろいろで,軽度なものでは視機能に及ぼす影響も少なく,対症療法のみで軽快をみる症例もある。しかし重大な合併症,ことに続発性緑内障や水晶体性ブドウ膜炎を伴う際には,ただちに水晶体を摘出すべきか否かの判断に迫られる。この点についてはすでにChandler2),Cal—houn et al.3)らの詳細な報告がある。

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〔解説〕

 Choroideremiaは,網脈絡膜の進行性,びまん性萎縮を主徴とする遺伝性疾患である。欧米ではいくつかの詳細な記載があるが,本邦では明確な記載は従来なかつた。私どもは最近本症の二家系を経験している。本症の遺伝形式はX染色体性劣性で,男性罹患者は特有の病変を示し,女性の遺伝子運搬者は軽微な病変を示す。

 男性罹患者は幼少時より夜盲を自覚し,長ずるとともに視野異常も加わり,晩年には視力障害も加わつて失明に至る。私どもの経験した症例中の最年長者は84歳で,一眼は失明,他眼は指数弁であつた。眼底所見はTapetoretinal degenerationとは,鑑別されるべきいくつかの特徴をもつ。周辺部にはじまり漸次後極部に至る広範な網膜色素上皮萎縮,脈絡膜毛細血管の萎縮をみ,さらに脈絡膜大血管の萎縮を生じる。黄斑部は比較的晩年近くまで障害が少ないが,末期にはそれも萎縮し白色眼底になる。網膜内層や網膜血管は長く健康に保たれる。本症は慣習的にChoroideremiaと呼ばれているが,Tapetochoroidal degenerationという名称が臨床像をより正確に記述すると思われる。

お知らせ

第28回日本臨床眼科学会第2回案内
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期日:1974年10月26目(土),27日(日)

会場:徳島県郷土文化会館

国際地理眼科学会(1975年),他
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 標記学会は1975年6月29日(日曜目)〜7月4日(金曜日)まで,スコットランドのエディンバラで開催予定です。会議主題は次の通り。

a)先天性眼奇形および眼疾患(lda Mann教授の業績を称えて)

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緒言

 先に私達は,白内障手術における2%塩酸プロカイン2mlの球後注射によるショック死を経験し報告した1)。以後私達はプロカインを使用する場合には,いかなる小手術に際しても全例について皮内テストを実施している。

 最初に,今回報告する皮内テストの方法の根本的な点について述べておきたい。まず全例にプロカイン皮内テストを行なう。そして発赤の出方が普通でないと思われたものについてはプロカインを用いての手術を止め,他の局麻剤を使用する。したがつて,手術時にショックを生じた症例の皮内テストの状態から皮内テストを論じているのではなくて,実際に手術を行ない何等異常を生じなかつた560例の皮内テストの状態についてまとめ,この程度の皮内テストの結果のものは手術を行なつても大丈夫であつたという報告を行なおうとしているのである。今回ここに報告する方法は,学問的見地よりすれば多くの欠点があることは良く承知しているが,プロカインショックが厳に存在し,それに対する準備テストの必要性が認められているにもかかわらず「準備テストは信頼性に欠ける」,「診療が忙がし過ぎて全例にはとてもやつてはいられない」,「ショックは稀で起きた人は運が悪い。自分の所では今迄何ともなかつた」などの理由で完全に実施されているとは言い難い今日,私たちの報告も諸氏の参考の1部にはなると考えるのである。

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緒言

 総合病院においては,各診療科が互に患者を紹介し合つて診断の正確を期しているが,偶々内科に入院中の尿崩症の一患者が,視力障害を訴え,虹彩毛様体炎の原因としてサルコイドージスによることをつきとめ,尿崩症の原因が同じくサルコイドージスによつて起こつたと推定した症例である。

基本情報

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臨床眼科
28巻2号 (1974年2月)
電子版ISSN:1882-1308 印刷版ISSN:0370-5579 医学書院

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