手術 71巻8号 (2017年7月)

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胃癌の診断と治療の進歩により長期生存が得られる患者が増え,術後のQOL向上も外科治療に求められるようになってきた。そのため,機能温存を重視した胃切除後再建が注目され,さまざまな再建法や手術手技の工夫が行われているが,新しい術式の導入期には経験不足による合併症を経験することも少なくない。

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近年,診断技術の進歩や手術手技・抗癌剤などの後治療の進歩から,胃切除後の予後が向上し,患者からは術後quality of life(QOL)の向上が求められるようになってきている。胃全摘術後の再建法はRoux-en-Y法,空腸間置法,double tract法などが行われているが,そのなかでもRoux-en-Y法はその手技の簡便さから広く普及している。しかし,この再建方法では,ダンピング症候群,術後逆流性食道炎,食事量の減少,体重の減少など,胃切除後障害を引き起こすリスクが高いことが知られている1)。

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胃全摘後の再建法として,食事摂取量の増加や体重維持,食後愁訴の軽減などを目的に,空腸パウチによる再建が考案され,1990年代には多くの施設で検討されるようになった1)。これらの長期にわたる有用性やmeta-analysisによる有用性も報告されている2,3)。

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胃全摘術後の再建法は歴史的な変遷を経て,その安全性,簡便性よりRoux-en-Y法(RY法)が標準再建法として選択されてきた。腹腔鏡下胃全摘術後の再建法も開腹手術で培った安全性を最優先しRY法が普及しており,腹腔鏡下での技術進歩,創意工夫に伴い食道空腸吻合の安全性も確立されつつある。

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胃を切除したあとの障害は重要な問題であり,さらに近年は胃癌の診断技術の進歩により早期の段階で胃癌が発見される機会が増加し,胃切除後障害を回避するために,胃自体の温存が可能な内視鏡下胃粘膜剥離術や胃の機能を温存する縮小手術などが広く施行されている。

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上部早期胃癌の増加,早期胃癌に対するQOL向上を目指した機能温存手術への意識の高まりから,噴門側胃切除が行われる機会が増えている。しかし,噴門側胃切除後の再建に関してはいくつかの方法が行われ,それらの優劣は定まっていない。当科では上川法(観音開き法)1)による再建を導入後,同再建法のQOLの良さから,第一選択の再建法として行っている。

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近年,日本を含む世界の動向として胃上部の癌が増加傾向にあり,さらに診断学の進歩などにより同部ならびに食道胃接合部の早期癌症例を少なからず経験する1,2)。

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近年,早期胃癌および高齢者胃癌の増加により,術後のQOL向上が求められている。切除範囲の縮小による機能温存胃切除術の術式として,上部早期胃癌や食道胃接合部癌に対する噴門側胃切除術は,PGSAS試験の報告により,QOLの観点からも胃全摘術に勝る術式として注目されている1)。

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食道癌に対する食道切除後の消化管再建には,一般的には,胃が使用されることが多い。しかし,胃切除の既往がある場合や胃癌の重複を伴う場合など,胃を再建臓器として使用できない症例では,大腸か小腸が使用される。大腸か小腸のいずれを使用するかは,術者や施設によって異なる。

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わが国では,1991年にS状結腸癌に施行した例が最初に報告されて以降,大腸癌治療の術式選択における腹腔鏡手術はますます増加している。これまでに盲腸,上行結腸,S状結腸,直腸S状部癌を対象とした開腹手術と比較した腹腔鏡手術の安全性や長期予後を検討するRCTが広く行われ,いずれも良好な成績が示されている1-6)。

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腹腔鏡手術は,近年急速に発展し,さまざまな領域の悪性腫瘍に対して普及が進んでいる。膵領域において,良性あるいは低悪性度病変に対する腹腔鏡下膵体尾部切除術(laparoscopic distal pancreatectomy;Lap-DP)に関しては,安全性や有効性が示され,標準術式となりつつある1-3)。

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悪性腫瘍に対する化学療法の安全・確実な施行を目的として普及が始まった埋め込み型中心静脈(central venous)ポート(以下,CVポート)は,その利便性から中心静脈栄養などの目的でも留置されることが多くなった。

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食道の内視鏡的粘膜下層剥離術(endoscopic submucosal dissection;ESD)は,2008年より保険収載され食道上皮性腫瘍に対して内視鏡的な一括切除を可能にしたが1),広範囲剥離例では術後狭窄が高頻度に起こることが問題となっている。

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膵・消化管神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor;NET)は小さい腫瘍でも高率にリンパ節転移をきたすといわれている1)。わが国では消化管NETは下部直腸に好発するため,その治療方針が重要となる。2015年に『膵・消化管神経内分泌腫瘍(NET)診療ガイドライン』2)が発行され,その治療方針に一定の見解が示されたが,手術内容に関してはまだ十分な検討がなされているとはいえない。今回,われわれは,10 mmの直腸NETに側方リンパ節転移を伴った症例を経験したため報告する。

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消化管異物は通常そのほとんどが自然排出され,穿孔・穿通をきたすことはまれであるが,消化管穿孔をきたす原因のなかでは魚骨による消化管穿孔が多い。魚骨による消化管穿孔例に対する治療では,近年腹腔鏡手術による報告例1)が増加してきているが,下部消化管領域における穿孔・穿通例における報告例はいまだに少ない。

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膵臓手術(膵体尾部切除)について統計学的に最もエビデンスレベルが高いとされているメタアナリシスを用いた論文を検索し,手術手技の問題点を検討した。膵体尾部切除における膵剥離法,膵切離法,断端処理法,膵液瘻予防法,手術法(開腹,腹腔鏡,ロボット),縮小手術(核出術,中央切除),臓器温存(脾臓温存)手術,拡大手術(DP-CAR),術後膵内外分泌機能など,膵臓手術(膵体尾部切除を中心に)の問題点について概説した。

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手術
71巻8号 (2017年7月)
電子版ISSN: 印刷版ISSN:0037-4423 金原出版

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