臨床皮膚科 33巻11号 (1979年11月)

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患者63歳,主婦

初診昭和52年11月25日

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浸潤細胞の免疫学的,細胞学的同定

 従来,細胞の同定はほとんどが顕微鏡的形態にもとづいて行われ,これに組織化学的な検討が加えられていたに過ぎなかった.細胞の機能,免疫学的特性に基づいて分類21,22)がなされるようになると,単離細胞について実施せざるを得なくなったが,おくればせながら,組織切片上での検索法が試みられている.笹岡ら23)は,皮膚病変部にカンタリジン軟膏を貼布して得られた水疱内容について検べている.

編集室だより

雑誌名の省略について
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 最近,引用文献に掲載される雑誌名の略称は,1970年にAmerican National Standards Committeeから出された「International List of Periodical Title WordAbbreviations」による略し方が,国際標準として,一般化してきました.皮膚科領域に関係のある言葉の例を下記にあげました.御投稿の際には,これらを参考にして下さい.

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 1.かつて著者らの1人野原によって皮膚弛緩症として報告された症例を再検討し,10余年の経過において弾力線維性仮性黄色腫(以下PXE)に特異的な皮膚症状,組織学的所見が出現したので,診断を訂正する目的でその詳細を報告した.

2.この症例(36歳,女子)はPopeのPXEの分類上もっともまれなautosomal recessivetypeのⅡ型に属することが明らかにされた.

3.自験例には梨子地眼底,angioid streaks,近視,肋軟骨の骨化,頭蓋骨の肥厚,肺の拘束性障害,内臓下垂,I.Q.の低値などの異常所見がみられ,上腕の皮膚には表皮穿孔性弾力線維症の合併が認められた.

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 14歳ごろより右上肢,右肩,右胸にくも状血管腫様の血管拡張斑を生じていた女性例,23歳,妊娠3ヵ月頃に右上肢にくも状血管腫様の血管拡張斑を生じた例および25歳ごろから右上肢,右背,右胸にくも状血管腫様の血管拡張斑を生じていた男性例の以上3例を片側性母斑性血管拡張症として報告した.本症は潜在性の母斑で,血中エストロジェン濃度の増加により顕在化するものと考えた.

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 典型的Focal dermal hypoplasia syndromeの2歳女児例を報告した.

病変は体幹,両上肢および右下肢に分布.瘢痕,萎縮,色素沈着,色素脱失,毛細血管拡張等が複雑に混じ合った網状の病巣で,その中に大きさ1.5cm迄の軟らかい丘疹,および結節を有する.その組織像の特色は菲薄化した真皮と,表皮直下にまで及ぶ脂肪織の存在である.

右手第Ⅲ指は中手骨から完全に欠損し,手根骨も一部欠損している.また第Ⅴ指骨も左手と比べてかなり小ざい.

両親は健康であり,家族歴にも特記すべきことはないが,母親には妊娠2ヵ月目で流産した既往がある.

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 26歳の父親と5ヵ月の娘にみられた限局性白皮症(partial albinism)について述べた.父親は幼時より頭髪は全て白毛,腋毛と陰毛の大部分も白毛;前頸・躯幹前面・四肢に白斑;cafe-au-lait spot様及びソバカス様の大小の色素斑が白斑部を除いた正常皮膚色部に無数に存在.娘の方は生後3ヵ月頃に前頭部の白毛;前額・躯幹前面・四肢の白斑;躯幹後面の色素斑に親が気付いた.家系内にほかに同病はなかった.父娘とも,Recklinghausen病を思わせる腫瘤はなかった.

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 16歳,男子.家系内に同症なし.日光過敏を訴え,顔面,手背に著明な疣贅様皮疹をみる.肝機能障害があり,肝生検で肝硬変の所見を認める.血中,屎中のプロトポルフィリン,コプロポルフィリンは著増している.骨髄ALA合成酵素活性は正常範囲であった.さらに,皮膚の病理組織学的,電顕的検討を行い,光線過敏性検査を施行し,光線防禦と疣贅様皮疹の治療を試みた結果を報告した.

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 6歳男児.生後3ヵ月から始まった多形皮膚萎縮に加えて先天性白内障,心奇形,眉毛・睫毛の欠如,精神身体発育不全を伴う.同胞3人に同様症状があり,劣性遺伝が示唆された.組織学的に表皮基底細胞層の破壊,色素失調に加えてPAS陽性物質が表皮直下に散見された.

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 線状苔癬線状扁平苔癬および炎症型線状表皮母斑の各1例を報告し,これら疾患の鑑別診断につき考按を行った.肉眼的所見には3疾患の間に類似点が存在するものの,皮疹の経過,自覚症状,組織学的所見など総合的観点より判断することにより鑑別診断は比較的容易であると考えられた.

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 SLEは男子に比べて女子に圧倒的に多くみられ,特に思春期及び成人期初期の女子が大部分である.抗核抗体を中心とした免疫学の進歩とその臨床検査への応用によって,多くの早期例,非典型例,特殊例がSLEと診断されるようになってきた.このためSLEの疾患概念は広がり,SLEとは急性から極めて緩慢な経過をとる症例まで種種様々な臨床症状を示す疾患となった.また治療薬として副腎皮質ホルモン剤と免疫抑制剤の適切な使用により,急性増悪が改善され,死亡率は減少した.現在では5年以上の生存率は約70%に認められるようになっている.

 このようなSLEの現状で,若い女性患者が圧倒的に多いSLEでは患者の結婚・妊娠及び出産が重要な問題となり,SLE患者からこれらについて,相談をうける機会がしばしばある.以前はSLE患者の妊娠は不適応とされてきたが,上述したように現在のSLEは疾患概念が広がり,個個の症例によって臨床像が異なっているため,妊娠の是非について的確な指示を与える必要が医師には要求されるが,これに答えることはかなり困難であるのが現状であるといえよう.

連載 皮膚病理の電顕・11

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皮膚粘膜ヒアリノーシス(6)

 図29 図25〜27にわたって簡単に記述してきたヒアリンは弱拡大では無構造物質であった.上図の右側には大部分無構造な部分があるが,この拡大ではその中に細線維(矢尻)が少数混在している.上図左側には無構造な部分が少なく,細線維が比較的多い.下図では細線維の多い部分を更に拡大して示した.これらの細線維は太さ(50—100Å)と長さがまちまちで,多くは1本の太さが部分により異なっている.その或る者はほぼ直線的で他のものは彎曲している.これらの特徴はアミロイド線維(図5参照)と全く異なり,むしろコロイドに混在する線維(図18参照)に近似する.両者が組織化学的,生化学的に糖蛋白であることを考慮すると,この類似は納得できる.

 皮膚粘膜ヒアリノーシスには遺伝性があり,早期に発病し,粘膜疹があるなどの点から膠様稗粒腫とは臨床的に鑑別できる.組織化学的にはPASに強染し,特に血管周囲にヒアリンの沈着が著しい.コロイドにはこの特徴がない.しかし電顕的にヒアリンとコロイドを比較すると微細構造的差異は少ない.ただ上図でもみられる如く,ピアリンには石灰沈着(*)が頻繁に起こり,これはコロイドにみられない特徴である.

これすぽんでんす

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 戸田・中山両氏の論文「全頭脱毛症の1例——著明な好酸球増多と頭蓋内百灰化陰影を伴いスチーマー療法で全治した症例——」(本誌,32;585,1978)における1例は,25%に達する末梢血の好酸球増多と脳幹部の一過性石灰化像を認めた点で大変興味のある症例であり,他には報告がない例と思われる.当科では,1965年より1977年の間の1,878名(年度がわりによる患者の重複をなくして)の円形脱毛症患者の統計(未発表)を行っているが,そのうち全頭脱毛症は200名,汎発性脱毛症は54名の患者を数える.最近の頭蓋内石灰化陰影の検査によっても,以前からの末梢血の検査でも,上記の例のような所見はまったく認められない,したがって,両氏の例はたまたま本症と直接関係のない疾患が合併していた可能性がある,全身性の瘙痒,体幹の丘疹があったとしているが,それらとの関係はどうだったのだろうか,また爪の変化の有無についてもぜひ知りたいところである.

 発症機序について病巣部の組織像に炎症所見が乏しく毛包の萎縮が高度であることから,局所の血流低下がその原因であろうと推論している.掲載されている組織像の写真をみると,毛漏斗の開大が認められることから,それは比較的皮表に近い毛包の水平切片像である.本症の組織像におけるリンパ球浸潤1)はもはや多くの人が容認している所見で,それは毛球を中心として存在する.したがって,垂直切片の多数を観察することが1つのコツである.

基本情報

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臨床皮膚科
33巻11号 (1979年11月)
電子版ISSN:1882-1324 印刷版ISSN:0021-4973 医学書院

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