講座
SLE (Ⅱ)—Ⅲ.SLEと妊娠・分娩
大橋 勝
1
,
藤井 初美
1
Masaru OHASHI
1
,
Hatsumi FUJII
1
1名古屋大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Nagoya University School of Medicine
pp.1021-1027
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202145
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SLEは男子に比べて女子に圧倒的に多くみられ,特に思春期及び成人期初期の女子が大部分である.抗核抗体を中心とした免疫学の進歩とその臨床検査への応用によって,多くの早期例,非典型例,特殊例がSLEと診断されるようになってきた.このためSLEの疾患概念は広がり,SLEとは急性から極めて緩慢な経過をとる症例まで種種様々な臨床症状を示す疾患となった.また治療薬として副腎皮質ホルモン剤と免疫抑制剤の適切な使用により,急性増悪が改善され,死亡率は減少した.現在では5年以上の生存率は約70%に認められるようになっている.
このようなSLEの現状で,若い女性患者が圧倒的に多いSLEでは患者の結婚・妊娠及び出産が重要な問題となり,SLE患者からこれらについて,相談をうける機会がしばしばある.以前はSLE患者の妊娠は不適応とされてきたが,上述したように現在のSLEは疾患概念が広がり,個個の症例によって臨床像が異なっているため,妊娠の是非について的確な指示を与える必要が医師には要求されるが,これに答えることはかなり困難であるのが現状であるといえよう.
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