これすぽんでんす
円形脱毛症と免疫異常/りぷらい
福居 憲和
1
1新潟大学
pp.1030-1031
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202147
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戸田・中山両氏の論文「全頭脱毛症の1例——著明な好酸球増多と頭蓋内百灰化陰影を伴いスチーマー療法で全治した症例——」(本誌,32;585,1978)における1例は,25%に達する末梢血の好酸球増多と脳幹部の一過性石灰化像を認めた点で大変興味のある症例であり,他には報告がない例と思われる.当科では,1965年より1977年の間の1,878名(年度がわりによる患者の重複をなくして)の円形脱毛症患者の統計(未発表)を行っているが,そのうち全頭脱毛症は200名,汎発性脱毛症は54名の患者を数える.最近の頭蓋内石灰化陰影の検査によっても,以前からの末梢血の検査でも,上記の例のような所見はまったく認められない,したがって,両氏の例はたまたま本症と直接関係のない疾患が合併していた可能性がある,全身性の瘙痒,体幹の丘疹があったとしているが,それらとの関係はどうだったのだろうか,また爪の変化の有無についてもぜひ知りたいところである.
発症機序について病巣部の組織像に炎症所見が乏しく毛包の萎縮が高度であることから,局所の血流低下がその原因であろうと推論している.掲載されている組織像の写真をみると,毛漏斗の開大が認められることから,それは比較的皮表に近い毛包の水平切片像である.本症の組織像におけるリンパ球浸潤1)はもはや多くの人が容認している所見で,それは毛球を中心として存在する.したがって,垂直切片の多数を観察することが1つのコツである.
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