連載 皮膚病理の電顕・11
皮膚結合織の病変(XI)—皮膚粘膜ヒアリノーシス(6)(7)
橋本 健
1
Ken Hashimoto
1
1Wright State University School of Medicine
pp.1028-1030
発行日 1979年11月1日
Published Date 1979/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1412202146
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皮膚粘膜ヒアリノーシス(6)
図29 図25〜27にわたって簡単に記述してきたヒアリンは弱拡大では無構造物質であった.上図の右側には大部分無構造な部分があるが,この拡大ではその中に細線維(矢尻)が少数混在している.上図左側には無構造な部分が少なく,細線維が比較的多い.下図では細線維の多い部分を更に拡大して示した.これらの細線維は太さ(50—100Å)と長さがまちまちで,多くは1本の太さが部分により異なっている.その或る者はほぼ直線的で他のものは彎曲している.これらの特徴はアミロイド線維(図5参照)と全く異なり,むしろコロイドに混在する線維(図18参照)に近似する.両者が組織化学的,生化学的に糖蛋白であることを考慮すると,この類似は納得できる.
皮膚粘膜ヒアリノーシスには遺伝性があり,早期に発病し,粘膜疹があるなどの点から膠様稗粒腫とは臨床的に鑑別できる.組織化学的にはPASに強染し,特に血管周囲にヒアリンの沈着が著しい.コロイドにはこの特徴がない.しかし電顕的にヒアリンとコロイドを比較すると微細構造的差異は少ない.ただ上図でもみられる如く,ピアリンには石灰沈着(*)が頻繁に起こり,これはコロイドにみられない特徴である.
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