皮膚科の臨床 66巻7号 (2024年6月発行)

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特集　プライベートパーツを診る！

はしがき土田　哲也 , 五十嵐　敦之 , 相馬　良直 , 林　伸和 , 佐伯　秀久 66巻7号 , 2024年6月 , pp.799-799

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本誌では,毎年一回，皮膚科の臨床分野におけるトピックスを特集しておりますが，今回は「プライベートパーツ診療」をテーマとして取り上げました。

第Ⅰ章　プライベートパーツ疾患アトラス

扉 66巻7号 , 2024年6月 , pp.805-805

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感染症 66巻7号 , 2024年6月 , pp.806-833

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1．ウイルス感染症

2．細菌感染症

3．真菌感染症

4．動物感染症

腫瘍性疾患 66巻7号 , 2024年6月 , pp.834-875

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1．上皮系腫瘍

2．間葉系腫瘍

3．メラノサイト系腫瘍

その他 66巻7号 , 2024年6月 , pp.876-917

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1．湿疹・皮膚炎群

2．蕁麻疹・痒疹

3．膠原病関連疾患・紅斑症

4．薬疹・GVHD

5．角化症・炎症性角化症

6．水疱症・膿疱症

7．代謝異常症

8．付属器疾患

9．形成異常・結合織疾患

10．肉芽腫性疾患

11．母斑・母斑症

12．色素異常症

13．物理化学的皮膚障害

第Ⅱ章　プライベートパーツ診療の実際

扉 66巻7号 , 2024年6月 , pp.919-919

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1．プライベートパーツの診療で注意すること本田　まりこ 66巻7号 , 2024年6月 , pp.920-922

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論文のポイント

⃝プライベートパーツの診療では，患者と1対1での診察は避けるべきで，看護師が診察につくことが望ましい。特に目の前で下着を脱ぐ行為は恥じらう者が多く，カーテンでしきることも大事である。

⃝性感染症の場合，治療法，他者への感染性の期間，治癒までの期間など丁寧に説明する。

⃝1回しか来院しない患者もいるので，単回投与で治療できる製剤を選ぶことも大切である。

2．鑑別診断の実際　1）外陰部紅斑の鑑別診断一木　稔生 , 伊東　孝通 66巻7号 , 2024年6月 , pp.923-933

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論文のポイント

⃝本稿では外陰部に限局する，もしくは外陰部に首座を置く疾患の鑑別診断をあげた。患者背景も鑑別診断の事前確率として重要である。

⃝感染症として蜂窩織炎/丹毒，フルニエ壊疽，紅色陰癬，皮膚カンジダ症，股部白癬，上皮系腫瘍としてQueyrat紅色肥厚症と乳房外Paget病，その他として接触皮膚炎，硬化性萎縮性苔癬，固定薬疹をあげた。

2．鑑別診断の実際　2）外陰部色素異常の鑑別診断河野　通浩 66巻7号 , 2024年6月 , pp.934-940

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論文のポイント

⃝プライベートパーツの色素性病変にはメラニンの増減によるいわゆる色素異常症，メラニンを産生するメラノサイト自体が増殖するメラノサイト増殖性疾患，そのほか黒色調を呈する腫瘍性・非腫瘍性病変がある。

⃝外陰部にはメラノーマなどの悪性腫瘍や繰り返すと重症薬疹に移行する可能性もある固定薬疹など放置すると致命的な疾患もある。

⃝外陰メラノーシスは外陰部色素性病変の多くを占めるが，臨床的にmelanoma in situとの鑑別が必要になる。

⃝外陰部の色素性母斑はメラノーマとの鑑別が必要になる病理組織学的な特徴をもつ。

2．鑑別診断の実際　3）外陰部びらん・潰瘍の鑑別診断梅林　芳弘 66巻7号 , 2024年6月 , pp.942-951

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論文のポイント

⃝組織欠損が表皮にとどまるものが「びらん」，真皮以下に及ぶものが「潰瘍」である。欠損が浅い場合，診断を想起しなければ，臨床像のみで両者を分ける方法はない。

⃝掻破・外傷による「びらん・潰瘍」を「excoriation」といい，日本語は「表皮剝離」とされているが，「epidermal detachment」と混乱しやすい。

⃝鑑別診断において，すべての可能性を検討する総花的アプローチは，臨床の現場では有用ではない。頻度重視，重症度重視，実践重視の3つの方法を組み合わせて鑑別を進める。

⃝皮膚潰瘍に対する皮膚生検は，一般的には腫瘍，血管炎，真菌・抗酸菌感染症を疑った場合に行う。外陰部の潰瘍に対する生検の意義は，主に悪性腫瘍の診断ないし除外である。

2．鑑別診断の実際　4）外陰部丘疹・結節の鑑別診断外川　八英 66巻7号 , 2024年6月 , pp.953-960

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論文のポイント

⃝外陰部の結節をみたら悪性腫瘍の鑑別を念頭に置く。

⃝ダーモスコピーは外陰部の悪性腫瘍の鑑別にも有用である。

⃝外陰部の腫瘍であっても特殊なダーモスコピー所見は少ない。

2．鑑別診断の実際　5）瘙痒を伴う外陰部病変の鑑別診断青山　裕美 66巻7号 , 2024年6月 , pp.962-966

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論文のポイント

⃝瘙痒を伴う外陰部病変は，真菌感染症，接触皮膚炎，刺激性接触皮膚炎があげられる。

⃝鑑別すべき疾患が幅広く，経過中に別の疾患が合併することもあるので，都度視診を行い，検査を併用する。

2．鑑別診断の実際　6）プライベートパーツ病変のダーモスコピー診断前　賢一郎 66巻7号 , 2024年6月 , pp.968-983

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論文のポイント

⃝プライベートパーツのダーモスコピー像は，生毛部と粘膜の所見が混在する。

⃝メラノサイト系病変の場合，生毛部と粘膜の所見が異なるが，非メラノサイト系病変は部位を問わず同様のダーモスコピー所見を呈する。

⃝粘膜では，正常な状態でも血管所見が目立つため，病変部と正常部の境界を見極める必要がある。

3．治療の実際　1）外陰部外用療法における留意点五十嵐　敦之 66巻7号 , 2024年6月 , pp.984-987

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論文のポイント

⃝外陰部皮膚は角層が薄く湿潤しやすい。また粘膜との境界部位であり刺激に敏感である。

⃝外用薬の経皮吸収量は他部位に比べて多く，副作用が出やすい傾向にある。

⃝皮膚萎縮，潮紅，感染症などの副作用に注意しながら外用薬を選択していく必要がある。

⃝粘膜もしくは外陰部には使用不可となっている外用薬があることに注意する。

3．治療の実際　［Column］亀頭部は皮膚？　粘膜？五十嵐　敦之 66巻7号 , 2024年6月 , pp.988-988

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ことの発端はある外用薬の乾癬を対象とした臨床試験での質問である。ご存知の通り亀頭部は乾癬の好発部位であるが，臨床試験のプロトコールには「粘膜には塗布しないこと」との禁止規定が織り込まれていた。亀頭部は皮膚なのか，粘膜なのか，感覚的には皮膚としてよいように思われるが，自信がもてないので調べてみる必要が生じた。すると皮膚科の主だった教科書には粘膜がどの部位であるか明確に記載したものがほとんどないことがわかった。そこでウィキペディアを調べてみると，そこには亀頭，陰茎包皮，陰核，陰核包皮は粘膜であって，皮膚ではないとの記載があった。さらにChatGPTでも調べてみると，亀頭部は通常，皮膚と粘膜の両方の要素を含んでおり，包皮に覆われている部分は一般的に皮膚であり，包皮の内側，すなわち亀頭自体は粘膜で覆われているとの回答を得た。

3．治療の実際　2）外陰部手術の実際吉野　公二 66巻7号 , 2024年6月 , pp.989-994

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論文のポイント

⃝外陰部腫瘍は良性，悪性があるが，特に悪性腫瘍はプライベートパーツであるが故に受診するのが遅れる傾向にあり，病状も進行した状況が多い。

⃝外陰部の切除によるボディイメージの変化に精神的な負担を感じる患者がいる。特に女性に多く，術後の精神的なフォローが必要となる。

⃝疾患ごとに切除範囲，センチネルリンパ節生検を考慮していくが，術後合併症についても術前の十分なインフォームド・コンセントを要する。

3．治療の実際　3）外陰部の瘙痒への対処法檜垣　祐子 66巻7号 , 2024年6月 , pp.995-999

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論文のポイント

⃝外陰部の瘙痒は湿疹・皮膚炎に伴うものが多い。外陰部皮膚への刺激や過度の洗浄を避け，掻破行動への対策を講じる。

⃝高齢女性の外陰部の瘙痒は，エストロゲンの欠乏による外陰部皮膚の菲薄化や萎縮性腟炎の関与が考えられる。ホルモン補充療法（HRT）の適応について考慮するほか，訴えを傾聴し，共感的に対応する。

⃝心因性の外陰部瘙痒症では，ストレスごとと瘙痒との関連に気づくことが大切である。ストレス発散や休息をとることを勧め，ストレス対処スキルの向上を目指す。

4．性感染症の診療　1）性感染症の最近の動向石地　尚興 66巻7号 , 2024年6月 , pp.1000-1007

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論文のポイント

⃝性感染症は世界的な問題となっている。

⃝本邦では梅毒の症例が急増している。

⃝SNSの利用などにより性感染症の感染経路が変化してきている。

4．性感染症の診療　［Column］感染症法松尾　光馬 66巻7号 , 2024年6月 , pp.1008-1008

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性感染症とは，「性的接触によって感染する病気」と定義され，性器の接触による性交だけではなく，オーラルセックスやアナルセックスなど性的な接触で感染するすべてが含まれる。これらの感染症に対する予防および医療措置が，感染症法という法律で定められている。正式には「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」である。その前身として，梅毒，淋病，軟性下疳，鼠径リンパ肉芽腫の4疾患を予防し，適正な医療の普及を図ることを目的とした「性病予防法」が1948年に制定された。その後，1999年に伝染病予防法，エイズ予防法と統合，さらに2007年には結核予防法とも統合され現在の感染症法となった。2021年には新型コロナウイルス感染症の拡大防止に向けた法案の修正もあり，性感染症のみならず感染症全般に対する法律となっている。

4．性感染症の診療　2）性感染症を疑ったときの視診・触診のコツ！尾上　泰彦 66巻7号 , 2024年6月 , pp.1009-1014

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論文のポイント

⃝性感染症の臨床現場で遭遇する疾患の一部（梅毒，クラミジア，淋菌感染症，性器ヘルペス，尖圭コンジローマ）の視診・触診技術について解説した。

⃝女性の外陰部に発症した硬性下疳の約50％は潰瘍に気づかれず見逃されている。外陰部の視診は丁寧に行うことが大切である。

⃝クラミジア性尿道炎では尿道の違和感，不快感，痒みなどを自覚するが，症状が出る人は約50％である。

⃝淋菌性尿道炎は感染機会から2～7日後，外尿道口より膿性の分泌物の排出を認める。

⃝性器ヘルペスは外陰部だけではなく腟壁，子宮腟部，肛門，臀部などにも発症する。

⃝尖圭コンジローマでは疣贅以外の症状がなく痛くも痒くもないため気づかれないことが多い。

4．性感染症の診療　［Column］「パパ活」性行動の多様化と性感染症の広がり尾上　泰彦 66巻7号 , 2024年6月 , pp.1015-1015

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パパ活とは，女性が肉体関係なしに経済的に余裕のある男性と食事やデートをし，その対価としてお金などをもらう活動である。両者は父親にお小遣いをねだる娘に似た関係であることからこの名前でよばれた。

4．性感染症の診療　3）性感染症の診断安元　慎一郎 66巻7号 , 2024年6月 , pp.1016-1021

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論文のポイント

⃝性感染症の診断は，性感染症への罹患について疑うことから始まる。

⃝性感染症のなかには問診と臨床的な所見観察のみで診断を下せるものもある。

⃝他疾患との鑑別を要する場合などに，性感染症としての診断を確定し，もっとも適切な治療の選択をするために必要な検査を行う。

⃝性感染症によって，診断や治癒の判定に必要な検査項目に違いがあるので，それぞれの性感染症の病原体の臨床的性質と発症病理を理解したうえで適切な検査を選択する必要がある。

4．性感染症の診療　［Column］LGBTQsと性感染症谷崎　隆太郎 66巻7号 , 2024年6月 , pp.1022-1022

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近年，世界中で性の多様性が叫ばれているが，皆さんの頭のなかに「性」という言葉を聞いてすぐに「リビドー（性的欲求）」が思い浮かぶような思考の偏りは存在しないだろうか？

4．性感染症の診療　4）性感染症：標準治療と最新トピックス清水　晶 , 竹田　公信 66巻7号 , 2024年6月 , pp.1023-1029

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論文のポイント

⃝性感染症の流行は都市部でみられることが多く，地方都市と状況が異なる。

⃝梅毒やエムポックスをはじめとした性感染症の診断，治療は進歩しており，ホームページからのガイドラインの確認など，アップデートされた情報を得ることが大切である。

⃝性感染症は他科連携が求められる分野である。日本性感染症学会などに出席し，情報交換をするとよい。

5．皮膚科以外の診療科との連携について渡辺　大輔 66巻7号 , 2024年6月 , pp.1030-1034

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論文のポイント

⃝皮膚科医がプライベートパーツ診療でもっとも求められるのは診断である。

⃝性器ヘルペスは過剰診断例も多く，適切に検査を行う。

⃝必要に応じ感染症科，泌尿器科，産婦人科，小児科などと連携する。

5．皮膚科以外の診療科との連携について　［Column］HPVワクチン髙橋　聡 66巻7号 , 2024年6月 , pp.1035-1035

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感染症を制御するひとつの方法としてワクチンがあげられる。本邦においても，ジフテリア，日本脳炎，ポリオ，麻疹，破傷風，百日咳などワクチンで予防可能な感染症では，ワクチン接種普及以前と比較して，近年の報告数は激減している。

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目次 66巻7号 , 2024年6月 , pp.800-802

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本特集で使用する用語について 66巻7号 , 2024年6月 , pp.803-803

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奥付 66巻7号 , 2024年6月 , pp.1036-1036

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基本情報

皮膚科の臨床
66巻7号
(2024年6月発行)

電子版ISSN：印刷版ISSN：0018-1404 金原出版

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