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特集 科学的根拠に基づくがん検診UPDATE 2025
日本における大腸がん検診の問題点
-――日本の大腸がん死亡率を他の先進諸国並みに減少させるには
Problems of colorectal cancer screening in Japan
――To reduce Japan’s colorectal cancer mortality rate to the level of other developed countries
松田 一夫
1
Kazuo MATSUDA
1
1福井県健康管理協会がん検診事業部
キーワード:
免疫便潜血検査(FIT)
,
精検受診率
,
検診受診率
,
組織型検診
,
大腸内視鏡検査
Keyword:
免疫便潜血検査(FIT)
,
精検受診率
,
検診受診率
,
組織型検診
,
大腸内視鏡検査
pp.961-965
発行日 2025年3月22日
Published Date 2025/3/22
DOI https://doi.org/10.32118/ayu292120961
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日本では1992年から40歳以上を対象として,1年に1回の免疫便潜血検査(FIT)2日法による大腸がん検診を開始した.年齢調整死亡率は1996年頃から減少に転じたが,G7の他の国々や韓国では日本以上の死亡率減少を達成している.日本の大腸がん検診が効果を上げない理由は,積極的受診勧奨の対象である40~69歳における2021年の精検受診率が69.9%と低く,2022年の大腸がん検診受診率も45.9%と低いためである.一方,英国や韓国でもFITによる大腸がん検診が行われ,イングランドの2022/2023年における60~74歳の受診率は70%,韓国の2023年における受診率は70.7%である.米国では10年に1回の大腸内視鏡検査を中心とした大腸がん検診が行われ,2021年における50~75歳の受診率は69.9%である.日本の大腸がん死亡率を諸外国並みに減少させるには,まず日本の死亡率が高いことを十分に認識し,FITによる大腸がん検診に力を入れる必要がある.精検受診率向上が喫緊の課題であり,受診率向上にも努めなければならない.職域におけるがん検診の法制化と対象者を名簿管理した組織型検診の導入も必要である.内視鏡による大腸がん検診にも期待が集まるが,NordICC研究の結果を踏まえれば高い受診率の達成が求められる.

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