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特集 腎疾患の診断と治療 最前線
III.各論2:全身性疾患に伴う腎障害(診断と治療)
12.Fabry病
Fabry disease
三ツ石 祐太
1
,
深水 圭
1
Mitsuishi Yuta
1
,
Fukami Kei
1
1久留米大学医学部内科学講座腎臓内科部門
キーワード:
Fabry病
,
X連鎖性遺伝
,
ライソゾーム病
,
α-ガラクトシダーゼA(GLA)
,
酵素補充療法(ERT)
Keyword:
Fabry病
,
X連鎖性遺伝
,
ライソゾーム病
,
α-ガラクトシダーゼA(GLA)
,
酵素補充療法(ERT)
pp.221-226
発行日 2024年12月15日
Published Date 2024/12/15
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001603
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1 はじめに
Fabry病とは
Fabry病は,ライソゾーム酵素であるα-ガラクトシダーゼA(GLA)が欠損することにより生じるX連鎖遺伝性疾患である。GLAの基質である糖脂質,特にグロボトリアオシルセラミド(globotriaosylceramide:Gb3)やGb3の脱アシル化誘導体であるグロボトリアオシルスフィンゴシン(globotriaosylsphingosine:Lyso-Gb3)が分解されずライソゾーム内に蓄積し,組織および臓器障害を引き起こす先天性代謝異常症である。発症頻度はこれまで40,000人に1人程度とされていたが,近年の新生児マススクリーニング研究では7,057人に1人(男児のみでは3,609人に1人)とそれより高い割合であることが報告された1)。また,われわれが行った慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)スクリーニングにおいて,男性血液透析患者において0.06%にFabry病患者が検出され,男性非透析CKD患者においても同様に0.48%がFabry病と診断されており2),潜在しているFabry病患者が多く存在すると考えられる。Gb3が血管内皮細胞,自律神経節,汗腺,腎臓,心筋,角膜などの組織に蓄積することによって,全身性にさまざまな臨床症状を呈し,腎臓,心臓,脳血管などの主要臓器障害は患者の生命予後を左右する。腎臓においては,糸球体上皮細胞,尿細管上皮細胞にGb3が蓄積することにより糸球体障害や尿細管障害を呈する(図1)。
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