Japanese
English
特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
F.血液疾患
血友病,von Willebrand病
Hemophilia, von Willebrand diseases
長江 千愛
1
Chiai Nagae
1
1聖マリアンナ医科大学小児科
キーワード:
血友病
,
凝固因子製剤
,
半減期延長製剤
,
定期補充療法
,
エミシズマブ
,
インヒビター
,
von Willebrand病
Keyword:
血友病
,
凝固因子製剤
,
半減期延長製剤
,
定期補充療法
,
エミシズマブ
,
インヒビター
,
von Willebrand病
pp.631-635
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001306
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1 疾患概念
血友病はⅩ連鎖潜性遺伝の出血性疾患であり,幼少期より重度の出血症状を反復する。凝固第Ⅷ因子(FⅧ)の量的・質的異常である血友病Aと第Ⅸ因子(FⅨ)異常症の血友病Bに分類される。令和4年度血液凝固異常症全国調査(厚生労働省委託事業)によると,わが国の患者数は血友病Aが5,776人,血友病Bが1,294人と報告されている1)。血友病Aのもっとも特徴的な遺伝子異常はイントロン22の逆位で,重症型の約40%に検出される。血友病Bの遺伝子異常は90%以上が点変異である。臨床症状は関節出血や筋肉出血などの深部出血が特徴であり,同じ関節に出血をくり返すと標的関節となり,慢性滑膜炎,関節軟骨破壊,関節変形・拘縮を生じ,血友病性関節症となる。新生児では分娩時の吸引分娩に起因する頭蓋内出血が認められ,ハイハイや1人歩きなど活動性が高まる1歳前後で皮下出血や口腔内などの粘膜出血を生じるようになり,幼児期以降は体重負荷のかかる足関節や膝関節および肘関節,また,それらを支持する筋肉に出血をきたすようになる。出血症状はFⅧ活性が1%未満の重症型では出血症状が顕著であるが,FⅧ活性が1~5%未満の中等症では出血頻度は減少し,FⅧ活性が5~49%の軽症では出血頻度は少ない。
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