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特集 エキスパートが教える 小児の薬物治療
Ⅲ.疾患別
F.血液疾患
播種性血管内凝固(DIC)
disseminated intravascular coagulation (DIC)
石原 卓
1
Takashi Ishihara
1
1奈良県立医科大学小児科
キーワード:
播種性血管内凝固
,
凝固
,
線溶
,
トロンボモジュリン
Keyword:
播種性血管内凝固
,
凝固
,
線溶
,
トロンボモジュリン
pp.626-630
発行日 2023年11月30日
Published Date 2023/11/30
DOI https://doi.org/10.24479/pm.0000001305
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1 疾患概念
播種性血管内凝固(disseminated intravascular coagulation:DIC)とは,その原因となる基礎疾患の存在下に持続する凝固活性化状態をきたし,細小血管で微小血栓が形成され赤血球破砕が起こる,いわゆる微小血管障害性溶血性貧血が生ずる病態であり,独立した疾患単位ではない。症状が進行すると凝固/線溶関連因子の著しい消費性低下をきたし,さらには血小板低下を生じる。基礎疾患も含めて適切な治療介入を速やかに行わなければ致死的となりうる。DICは凝固能と線溶能のバランスによって,出血症状ないしは臓器障害を呈する。基礎疾患により線溶能の程度が異なることがポイントで,たとえば急性前骨髄球性白血病(acute promyelocytic leukemia:APL)のように線溶能の亢進が凝固能の活性化を凌駕すれば著明な出血症状を呈し,一方で敗血症のように線溶能が逆に抑制され凝固能が相対的に優位になれば微小血栓が多発し,それによる臓器障害が主体となる1)。
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