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第5土曜特集 止血・血栓・凝固の最新知見――研究と臨床を繋ぐ
出血性疾患――病態の解明と診断,治療の進歩
血友病
-――最近の治療の進歩
Recent advances in hemophilia treatment
野上 恵嗣
1
Keiji NOGAMI
1
1奈良県立医科大学小児科
キーワード:
血友病
,
インヒビター
,
半減期延長型製剤
,
非凝固因子製剤
,
遺伝子治療
Keyword:
血友病
,
インヒビター
,
半減期延長型製剤
,
非凝固因子製剤
,
遺伝子治療
pp.715-719
発行日 2025年8月30日
Published Date 2025/8/30
DOI https://doi.org/10.32118/ayu294090715
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血友病医療において,血液凝固第Ⅷ(Ⅸ)因子製剤の補充療法の進歩は,血友病性関節症の発症を抑制させ,血友病患者のQOL向上に大きく貢献した.しかし,製剤の頻回の静脈投与やブラッドアクセス,同種抗体(インヒビター)出現は課題であった.これらの克服を目指し,わが国もインヒビター発生要因や免疫寛容導入療法などの臨床研究も実施されてきた.近年,製剤開発において半減期延長型製剤や非凝固因子製剤が相次いで登場してきた.特に,抗第Ⅸ因子/第Ⅹ因子バイスペシフィック抗体は皮下投与で長い半減期を有し,血友病A患者に出血抑制を示す.“Rebalance coagulation” 機序に基づく抗アンチトロンビン(AT)製剤と抗TFPI抗体製剤も開発された.さらに,ベクター改良やコドン最適化により止血治療域までのタンパク質発現が可能となった遺伝子治療は欧米ですでに承認されている.血友病治療の最近の進歩は,長年の課題を克服させ,さらなるQOL向上が期待される.

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