特集 これならわかる骨系統疾患とその周辺
各論
新生児期の骨代謝性疾患
栗原 真帆
1
,
巷岡 祐子
1
KURIHARA Maho
1
,
TSUJIOKA Yuko
1
1慶應義塾大学放射線科学教室(診断)
pp.1674-1678
発行日 2024年12月10日
Published Date 2024/12/10
DOI https://doi.org/10.24479/peri.0000001966
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胎児期および新生児期の骨代謝
胎児骨形成は発生初期より進行して,第2三半期前期にはほぼ原型が完成している。しかし,骨代謝に必須なCa,P,Mgなどのミネラルは胎生後期に特に需要が高まる。これらのミネラルは胎児期には母体から胎盤を通じて胎児に能動輸送され,胎児は満期までに約30gのCaを蓄える。その80%は第3三半期に取り込まれ,胎盤を介したCa輸送は120~150mg/kg/日にも及び,特に35~38週では300mg/日以上となる1)。胎児の血中Ca,P濃度は相対的に高く,妊娠後期の急激な骨形成に対応している。出生後には,血中Ca濃度は20~30%ほど低下し,副甲状腺ホルモン(PTH)は上昇する2)。PTH上昇に伴って,ビタミンD(VitD)活性化と腸管からのCa吸収,線維芽細胞増殖因子23(FGF23)によるP代謝調整も開始する。
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