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特集 腎不全合併症に関する最近の進歩
慢性腎不全 腎性貧血
renal anemia
倉賀野 隆裕
1
KURAGANO Takahiro
1
1兵庫医科大学循環器・腎透析内科学
キーワード:
腎性貧血
,
ESA
,
HIF-PH阻害薬
,
鉄剤
Keyword:
腎性貧血
,
ESA
,
HIF-PH阻害薬
,
鉄剤
pp.539-542
発行日 2024年5月25日
Published Date 2024/5/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000001297
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Ⅰ 定義
日本透析医学会が発表しているガイドライン1)では,腎性貧血とは,腎臓においてヘモグロビン(hemoglobin:Hb)の低下に見合った十分量のエリスロポエチン(erythropoietin:EPO)が産生されないことによってひき起こされる貧血であり,貧血の主因が腎障害以外に求められないものと定義している。腎性貧血の診断もしくは貧血治療薬を投与する際に,必ずしもすべての症例において血中EPO濃度の測定は行っていないが,慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)患者が貧血状態(Hb値が10g/dL未満)にあり,血中EPO濃度が50 mIU/mL未満であれば腎性貧血と診断してよい基準と設定している。一方で,CKD患者が伴う貧血の原因としてEPO産生低下以外には,尿毒症物質などの何らかの因子による赤血球造血の抑制・赤血球寿命の短縮・鉄欠乏・鉄代謝の障害・透析回路における残血・出血・栄養障害など,さまざまな因子の関与が想定されている。しかしながら,それぞれの因子の貧血へ及ぼす頻度や影響は明確にはされていない。
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