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はじめに
腎性貧血は慢性腎臓病(chronic kidney disease:CKD)における重要な合併症であり,腎間質線維芽細胞における赤血球造血因子(erythropoietin:EPO)の貧血に対する不相応な産生低下主因である1)。腎性貧血はQOLや運動耐用能の低下,心血管イベントリスクの増加,感染症の増加,生命予後不良など種々のリスクとの関連が指摘されている2)。エリスロポエチン刺激薬(erythropoietin stimulating agents:ESA)が臨床応用される前は腎性貧血に対する効果的な治療薬がなく輸血に頼らざるを得なかったが,1990年の遺伝子組み換えヒトエリスロポエチン製剤(recombinant human erythropoietin:rHuEPO)の発売により,腎性貧血の管理は大きく改善した。rHuEPOはADL(activities of daily living),QOLの改善に大きく貢献したが,保存期CKDや腹膜透析患者での通院回数の増加などの問題が生じていた。その後,短時間作用型であるrHuEPOの問題点を改善する目的で血中半減期の長いダルベポエチンアルファ(darbepoetinα:DA)とエポエチンベータペゴル(epoetinβ pegol;continuous erythropoietin receptor activator:CERA)が開発・上市され,ESAとして普及してきた。長時間作用型ESAはCKD患者の目標Hb値の達成に貢献したが,注射製剤であることによる疼痛やESAの反応性が低い(ESA低反応性)患者で心疾患(cardiovascular disease:CVD)リスクが増加するなどの問題が指摘された。
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