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特集 腎性貧血:HIF-PH阻害薬への期待と課題
【各論】
HIF-PH阻害薬とESAの相違点 HIF-PH阻害薬とESAの使い分け:保存期
Use properly of ESAs and HIF-PH inhibitors in nondialysis CKD patients
新田 孝作
1
NITTA Kosaku
1
1東京女子医科大学 腎臓内科
キーワード:
腎性貧血
,
ESA
,
HIF-PH阻害薬
,
鉄
Keyword:
腎性貧血
,
ESA
,
HIF-PH阻害薬
,
鉄
pp.184-191
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000257
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はじめに
貧血は慢性腎臓病(CKD)の結果として生じることがよく知られている。これは主に,腎不全によってエリスロポエチンの合成が相対的に不十分となることによって生じる。長年にわたり,赤血球造血刺激因子製剤(ESA)および鉄剤の併用が貧血の標準治療となっており,いずれのESAも,CKD患者においてヘモグロビン(Hb)値を上昇させるのに有効である。しかし,この10年間で,この併用療法に伴い,特にESA低反応のCKD患者に対して高用量で投与した場合に,心血管リスクが上昇するという安全性の問題が指摘されるようになっている。このため,Hb目標値がより慎重に定義されるようになった。鉄欠乏はCKD患者において高頻度にみられ,従来から鉄補充は貧血コントロールのための支持療法として使用されている。近年,低酸素誘導因子プロリン水酸化酵素(HIF-PH)阻害薬がCKD患者の貧血の治療に使用可能となった。これらの薬剤の主な利点として,内因性エリスロポエチンの合成を刺激すること,および鉄の利用能を増加させることがある。保存期CKDにおけるESAとHIF-PH阻害薬の使い分けに関しては,議論の多いところである。
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