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特集 腎性貧血:HIF-PH阻害薬への期待と課題
【各論】
HIF-PH阻害薬治療と貧血・鉄代謝マーカーの管理基準 保存期・腹膜透析・腎移植患者におけるヘモグロビン管理目標の再考
Should target hemoglobin be changed in anemia treatment by HIF-PH inhibitor?
林 晃正
1
HAYASHI Terumasa
1
1大阪急性期・総合医療センター 腎臓・高血圧内科
キーワード:
腎性貧血
,
目標ヘモグロビン
,
ESA
,
HIF-PH阻害薬
Keyword:
腎性貧血
,
目標ヘモグロビン
,
ESA
,
HIF-PH阻害薬
pp.207-210
発行日 2022年8月25日
Published Date 2022/8/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000261
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はじめに
1998~2009年に発表されたNormal Hematocrit Cardiac Trial,CHOIR試験,TREATなどの大規模臨床試験の結果,保存期慢性腎臓病(non-dialysis-dependent chronic kidney disease:NDD-CKD)患者に対する赤血球造血刺激因子製剤(erythropoiesis stimulating agents:ESA)による腎性貧血治療において,ヘモグロビン(Hb)の正常化は心血管イベントならびに死亡率増加につながることが示された1~3)。その後,これらの大規模臨床試験の事後解析が行われ,ESA反応性不良や高用量のESA使用が予後不良と関連する可能性が指摘されたが 4~6),2012年Kidney Disease:Improving Global Outcomes(KDIGO)ガイドラインでは目標Hbは11.5g/dLを超えないことが推奨された7)。一方,『2015年版 日本透析医学会 慢性腎臓病患者における腎性貧血治療のガイドライン』(以下,2015年版日本透析医学会ガイドライン)では8),上述の海外のエビデンスやガイドラインを参考にしつつも,わが国で実施されたA21試験9)を含めた小規模の介入研究や観察研究の結果,ならびに欧米とわが国の患者背景やESA反応性の違いを考慮し,NDD-CKD患者(腎移植患者を含む)や腹膜透析(peritoneal dialysis:PD)患者における目標Hbは11g/dL以上13g/dL未満,血液透析(hemodialysis:HD)患者では10g/dL以上12g/dL未満に設定された。
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