Japanese
English
特集 尿細管と腎線維化
【線維化を誘導する尿細管障害】
尿細管遺伝子異常と腎線維化
Renal fibrosis induced by genetic tubulopathy
貝森 淳哉
1,2
,
坂口 悠介
1,2
,
猪阪 善隆
2
KAIMORI Jun-Ya
1,2
,
SAKAGUCHI Yusuke
1,2
,
ISAKA Yoshitaka
2
1大阪大学大学院医学系研究科 腎疾患臓器連関制御学
2大阪大学大学院医学系研究科 腎臓内科学
キーワード:
ADTKD
,
ADPKD
,
PLD
,
ER stress
Keyword:
ADTKD
,
ADPKD
,
PLD
,
ER stress
pp.850-855
発行日 2022年12月25日
Published Date 2022/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000548
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はじめに
本稿では,腎線維化を引き起こす遺伝性尿細管疾患として常染色体顕性(優性)尿細管間質性腎疾患(ADTKD)を取り上げたい。腎臓領域で遺伝性疾患といえば,多発性囊胞腎(PKD)やAlport症候群がつとに有名だが,ADTKDも注意すべき疾患である。日本は,学校検尿および職場健診のシステムが海外に比べて非常に整っているので,検尿異常のある患者は,最終的に医療機関にかかることになっている。しかしながら,検尿異常がないにもかかわらず,腎機能が低下してくる患者が少数ながらおり,そのなかで,家族歴を有する患者がある一定の割合で存在する。これらの患者集団が,ADTKDの可能性が高い。ADTKDの患者では,腎機能の低下にもかかわらず,腎臓のサイズが保たれている症例が多く,少数ながら囊胞を認めることもある。この囊胞が髄質に存在することから,ADTKDと呼ばれる前は髄質囊胞腎(medullary cystic kidney disease:MCKD)や,一部のADTKDで尿酸が早期から上昇することから,家族性若年性高尿酸血症性腎症(familial juvenile hyperuricemic nephropathy)と呼ばれることがかつてあった。しかしながら今日では,原因遺伝子が明らかになり,遺伝子診断が容易になっていることから,すべてを包括的にADTKDと呼び,その後尾に原因遺伝子名を付与して呼ぶことが通例となっている。ADTKDの特徴的病変は,現在は尿細管基底膜の不整および腎臓線維化となっている。
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