Japanese
English
特集 尿細管と腎線維化
【線維化を誘導する尿細管障害】
尿細管由来サイトカインと腎線維化
A review of tubule-derived cytokines and renal fibrosis
加治 貴彰
1
,
岩田 恭宜
1
,
坂井 宣彦
1
,
和田 隆志
1
KAJI Takaaki
1
,
IWATA Yasunori
1
,
SAKAI Norihiko
1
,
WADA Takashi
1
1金沢大学大学院 腎臓内科学
キーワード:
TGF-β
,
CTGF
,
PTE
Keyword:
TGF-β
,
CTGF
,
PTE
pp.856-861
発行日 2022年12月25日
Published Date 2022/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000549
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はじめに
サイトカインは生体内において免疫細胞,主に好中球やマクロファージ,Tリンパ球,Bリンパ球の機能を調整する生理活性物質である。免疫細胞を活性化させることで細菌,ウイルス,腫瘍細胞といった異物を速やかに除去する反応を担う一方で,過剰なサイトカインの産生により炎症細胞が異常に活性化され,臓器障害の進展にも関与する。また,特定のサイトカインは線維芽細胞や内皮細胞を活性化させることで創傷治癒過程において重要な役割を果たすが,その反面,線維芽細胞の活性化による臓器の線維化を招くことが知られている。特に腎においては,間質線維化が慢性腎臓病への進展に深く関与する。線維化の進行は細胞外マトリックス(extracellular matrix:ECM)が蓄積することにより引き起こされる。この過程において,transforming growth factor β(TGF-β)がECMの分解抑制や細胞間の相互作用を引き起こすことで,線維化の進行に対して重要な役割を果たすことが知られている。近年はこれらのサイトカインに焦点をあてた抗線維化療法の研究もなされている。
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