Japanese
English
特集 尿細管と腎線維化
【線維化を誘導する尿細管障害】
尿細管虚血と腎線維化
Ischemic tubular injury and renal fibrosis
石岡 広崇
1
,
田中 哲洋
1
ISHIOKA Hirotaka
1
,
TANAKA Tetsuhiro
1
1東北大学大学院医学系研究科 腎・膠原病・内分泌内科学分野
キーワード:
腎線維化
,
低酸素
,
尿細管障害
,
hypoxia-inducible factor(HIF)
Keyword:
腎線維化
,
低酸素
,
尿細管障害
,
hypoxia-inducible factor(HIF)
pp.845-849
発行日 2022年12月25日
Published Date 2022/12/25
DOI https://doi.org/10.24479/kd.0000000547
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
はじめに
腎障害がある閾値に達すると腎疾患の進行は不可逆的となり,以降は原疾患によらず共通の病態経路(final common pathway)を介して末期腎不全に至ると考えられている。硬化糸球体の存在が他糸球体の過剰濾過を招き,さらに糸球体硬化が進行するというhyperfiltration theoryを,1982年にBrennerが提唱し,同仮説がfinal common pathwayであると考えられていた。しかしながら,その後の病理学的研究により腎予後は糸球体硬化よりも尿細管間質線維化と強い相関があることがわかり,final common pathwayの首座は尿細管間質にあると認識されるようになった。また,尿細管間質線維化は腎臓の慢性虚血によっても引き起こされる1)。このような背景から尿細管間質における慢性虚血・低酸素のメカニズム解明は,慢性腎臓病(CKD)治療薬の開発においても重要となる。
© tokyo-igakusha.co.jp. All right reserved.