特集 他科の視点・診療連携の観点でみる 母斑・母斑症Ⅰ
疾患別の概説――診療連携の視点を含めて
3.神経線維腫症1型ほか
生越 章
1
,
川島 寛之
2
1新潟大学地域医療教育センター・魚沼基幹病院
2新潟大学大学院整形外科学分野
pp.238-245
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003386
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神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)は出生3,000人に1人発生する,頻度の高い常染色体顕性遺伝の疾患である.原因遺伝子NF1はRas遺伝子の抑制因子であり,この抑制の異常により各種細胞の増殖が刺激されさまざまな病態が生じる.多数のカフェ・オ・レ斑と皮膚神経線維腫を主体とするさまざまな症状を呈する.皮膚神経線維腫以外に末梢神経に発生する神経線維腫や軟部組織に広範に発生するびまん性神経線維腫を叢状神経線維腫とよび,近年MEK阻害薬であるセルメチニブの使用が可能になった.予後不良の悪性末梢神経鞘腫瘍(MPNST)の発生リスクは生涯にわたると8~15%とされるが,MPNSTは叢状神経線維腫から発生することが多い.多科,多職種による総合的な診療が望ましく,セルメチニブの適応の選択や,生涯にわたるMPNST発生リスクに対するフォローアップなどの必要性から,経験の豊富なセンター病院にて診療することが理想である.日本皮膚科学会からWEBでも閲覧可能な有益なガイドラインが示されている.

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