特集 日常診療で見落としたくない神経疾患
Ⅱ 新たな診断・治療が可能となった疾患
9.神経線維腫症1型
武内 俊樹
1,2
1慶應義塾大学病院母斑症センター
2慶應義塾大学医学部小児科学教室
キーワード:
神経線維腫症1型
,
神経皮膚症候群
,
カフェオレ斑
,
NF1遺伝子
,
びまん性神経線維腫
,
セルメチニブ
Keyword:
神経線維腫症1型
,
神経皮膚症候群
,
カフェオレ斑
,
NF1遺伝子
,
びまん性神経線維腫
,
セルメチニブ
pp.1019-1024
発行日 2023年10月1日
Published Date 2023/10/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000002722
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神経線維腫症1型は,小児科診療で遭遇する機会の多い母斑症(神経皮膚症候群)である.NF1遺伝子のヘテロ接合性変異によって発症する遺伝性疾患である.出生後から年齢依存性に症状が増えていくことが特徴である.一般に,幼少期に皮膚のカフェオレ斑が多発することで気づかれることが多いが,成長とともに,神経線維腫とよばれる良性腫瘍が生じる.その他に,骨病変,虹彩や視神経,脳にも過誤腫を認めることがある.成人期以降には,悪性末梢神経鞘腫瘍やその他の悪性腫瘍の発生に注意が必要である.2022年からわが国でも,本疾患に伴うびまん性神経線維腫に対して,セルメチニブ(商品名:コセルゴ)が保険収載された.本薬剤により腫瘍容積を2割程度縮小できる.これまで,本疾患の治療は外科的切除のみであったが,分子標的薬による内科的治療に外科的治療を組み合わせる新しい時代に入ったといえる.
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