発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013081444
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71歳男。欧州旅行の帰国3日前から咳嗽が出現し搭乗直前にふらつきを自覚し、日本到着直前に機内で呼びかけに応答せず救急搬送され、重症肺炎の診断で集中治療管理となった。エアロゾルや動物の接触はなく、WBCの減少、分葉核球の著明な減少、肝・腎機能障害、エンドトキシンの著明な上昇を認め、喀痰と血液培養より緑膿菌が同定された。X線で左中下肺野の透過性低下、CTで左優位に両肺背側に浸潤影を認めた。骨髄穿刺より悪性細胞はなく有核細胞は著明に減少、中毒顆粒も出現していた。入院時よりベンチレーター管理とし、敗血症性ショックおよび腎障害にカテコラミンによる昇圧と持続的血液濾過透析(CHDF)、さらにMEPM、CLDMを投与し、グラム陰性桿菌の同定後はTOBも追加投与した。カテコラミン投与量は増大し、エンドトキシン吸着療法(PMX-DHP)も追加したが、来院後8時間より心拍停止→蘇生処置を繰り返し、11時間後に死亡した。緑膿菌肺炎による呼吸・循環不全による死亡と診断した。病理解剖は出血と膿瘍形成を伴う高度肺炎像、サルコイドーシスによる諸臓器の類上皮肉芽腫形成を認めた。
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