発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2010200989
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83歳女。感冒症状、右季肋部痛、食欲低下が出現・増悪し、救急外来受診し入院となった。検査所見で肝・腎障害、凝固異常を、腹部超音波では胆嚢腫大を認め、急性胆嚢炎を疑った。腹部CTでは胆嚢壁肥厚は明らかではなく、また両側腎嚢胞を認めた。心エコーではタコつぼ心筋症を認めた。入院後血圧不安定となり、dopamineなどの投与を開始したが、更に疼痛増悪、意識レベル低下を来たし、検査所見も悪化した。初回後7時間の超音波検査では門脈内に点状の高エコー像を散在性に認め、造影CTでは胆嚢壁および胆嚢内のガス像、肝内の被膜近傍に至る樹状の低濃度領域を認めた。動脈採血では代謝性アシドーシスを認めた。敗血性ショック状態と考え、経皮経肝胆嚢ドレナージを施行し、エンドトキシン吸着併用血液透析も追加した。その結果、第5病日には検査所見は改善して血液透析から離脱し、以後も順調に回復した。第36病日に開腹胆嚢摘出術を施行し、病理所見では変性・壊死が強く、上皮細胞や壁の構造は失われていた。第55病日に軽快退院した。
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