発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013081443
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44歳女。約2年前より発熱と吸気時胸痛の出現し数日間で自然消退を繰り返し、その後に両手指こわばりや右肘関節痛が出現した。関節リウマチが疑われたが、発熱と胸痛の出現、胸部CTで左肺野S3の胸膜に接する斑状影から膠原病疾患が疑われたが、発熱、胸痛は消失していた。好酸球分画は高値であったが好酸球数は正常で、赤沈は軽度亢進し、CRP陰性であった。その後の検査で血清総IgE・血清IgG4高値であったため家族性地中海熱を疑った。胸部CTでの左肺野S3の斑状影が空洞構造を伴う結節影への変化より、IgG4関連肺疾患も鑑別とした。受診後5ヵ月に再び発熱、胸痛が出現し、CTで左肺野S3に新たな索状影、スリガラス影を認め、サワガニやイノシシ肉の摂食歴が判明したことより寄生虫抗体スクリーニングを行い、ウェステルマン肺吸虫抗体陽性(3+)を認めた。Microtiterplate ELISA法でも特異的抗体価が高値であったため、ウェステルマン肺吸虫症と診断した。受診後6ヵ月のプラジカンテル投与で発熱、胸痛発作は消失し、2ヵ月後に寄生虫抗体価も有意に低下し肺病変の改善も認めた。
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