発行日 2012年8月1日
Published Date 2012/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012318861
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症例は65歳女性で、喀血を来たし、近医のX線で右上肺野の浸潤影を指摘された。胸部造影CTでは右S1肺尖部およびS2に軟部濃度の不整形の結節を認め、S1の結節は微細な石灰化を、S2の結節は胸膜陥入像と限局性胸水を伴っていた。気管支洗浄、経気管支肺生検では悪性の所見がなく、培養も陰性であった。FDG-PETでは右肺上葉の結節影に一致して高度集積を認め、S1はSUVmax 8.0、S2はSUVmax 8.2であった。悪性腫瘍を否定できず、診断的治療として右上葉切除を行った。切除標本でS1およびS2に弾性硬で灰白色を呈し、内部が不均一な腫瘤の形成が認められた。病理組織学的には膿瘍形成を認め、膿瘍周囲肺胞腔内に菌塊が出現していた。グラム染色では菌塊内に糸状に染色されるグラム陽性桿菌を認め、悪性所見はなく、肺放線菌症と診断された。術後経過良好で、確定診断後はampicillin 1g/dayの投与を6ヵ月間行い、再発はない。
©Nankodo Co., Ltd., 2012