発行日 2011年12月1日
Published Date 2011/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2012213781
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
症例は57歳男性で、血痰を主訴とした。CTで右肺上葉S3に径25mm大の腫瘤を認めたが、気管支鏡検査や右B3aの経気管支肺生検、擦過・洗浄細胞診で異常所見は認めず、一般細菌・抗酸菌培養検査も陰性であった。3ヵ月後のCTで胸膜陥入、血管の巻き込み像、スピクラを伴う腫瘤を認め、S3aから葉間を越えてS4bへ進展が疑われた。肺門リンパ節の腫大も認めた。FDG-PETでは腫瘤と肺門リンパ節に集積が認められた。肺癌(cT2aN1M0)を疑い、第5肋間後側方開胸で手術を施行した。術中、腫瘤に対し針生検を施行し、術中迅速病理検査で軽度の異型を伴う細胞を認め、肺癌である可能性を否定できないと診断された。上葉原発の肺癌が中葉へ進展したと考え、右上葉切除・中葉部分切除とリンパ節郭清(ND2a-2)を施行した。病理診断は肺膿瘍であったが、原因菌は不明であった。術後経過は良好で、第8病日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2011