臨床経験
診断確定に苦慮した肺放線菌症
青木 裕之
1
,
永瀬 厚
,
本望 聡
,
渡邊 一教
,
前田 敦
1国立病院機構旭川医療センター 外科
キーワード:
Amoxicillin
,
気道感染
,
胸腔鏡法
,
胸部X線診断
,
鑑別診断
,
肺疾患
,
肺切除
,
放線菌症
,
胸部CT
Keyword:
Amoxicillin
,
Actinomycosis
,
Diagnosis, Differential
,
Lung Diseases
,
Respiratory Tract Infections
,
Pneumonectomy
,
Radiography, Thoracic
,
Thoracoscopy
pp.553-556
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2014367318
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37歳男。35歳時に発熱・咳嗽が出現し、前医にて右上葉の肺炎の診断で抗生物質を投与され、一旦軽快したものの症状が再燃し、右上葉の浸潤影が増大したため当院紹介となった。喀痰や肺胞洗浄液の培養検査で一般細菌や抗酸菌は検出されず、原因が特定できないため外来で経過観察を継続していたが、3~4ヵ月に一度発熱が出現し、浸潤影は増大傾向にあった。36歳時に確定診断目的に胸腔鏡下にS1・S6の部分切除を行い、病理診断は器質化肺炎であった。その後も症状は断続的に続き、悪化時には抗生物質投与などの内科的治療を行なったが、症状に改善はなく、浸潤影は更に増大した。今回、病変部の完全切除を目的に胸腔鏡補助下に右上葉の摘出を行い、腫瘤部に割を入れると空洞内から壊死物質が流出したためこれを培養検査へ提出した。病理組織検査では器質化を伴った炎症性肉芽腫の中心に、壊死物質の存在する空洞を認めた。術中提出した壊死物質の嫌気性培養ではActinomyces israeliiが同定され、肺放線菌症と診断した。術後4年の現在、再発は認めていない。
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