発行日 2006年5月1日
Published Date 2006/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00349.2006210151
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75歳男.左側胸部痛,発熱,咳嗽が出現した.胸部X線で左下肺野に辺縁不整な浸潤影を認め,CTでは左下葉を中心に一部空洞を伴う広範なconsolidationを認めた.気管支鏡所見,擦過・洗浄細胞診,細菌・真菌培養,生検で確定診断が得られず,動脈造影では左下横隔膜動脈と肺動脈との間に胸膜癒着部を介して著明な短絡形成を認めた.肺膿瘍を疑い開胸術を施行した.左下葉は炎症性癒着が高度で剥離困難と判断し,左肺摘除術を施行した.病理組織所見で気管支内腔の細菌集塊に層状構造を認め,Grocott染色で放射状,糸状の菌体が証明された.術後開胸創部の腫脹,黄色膿汁様物質の排出を認め,創部蜂窩織炎と判断してセフェム系抗生物質治療を行ったが改善しなかった.病理所見より放線菌症を疑いbenzylpenicillin potassiumの大量静脈投与を開始したところ,炎症所見,自覚症状は改善した.1ヵ月半の静脈投与後,経口ペニシリン製剤投与を6ヵ月間行い,現在著変なく経過観察中である
©Nankodo Co., Ltd., 2006