発行日 2010年2月1日
Published Date 2010/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2010118219
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62歳女。誘因なく右足関節周囲の痛みが出現し、次第に増悪した。初診時、右下腿内側に点状皮下出血を認め、周囲は発赤・腫脹していた。蜂窩織炎を疑ったが、炎症所見が強く壊死性筋膜炎も否定できないため入院加療とした。ペピラシリンナトリウムを開始し、電解質補正目的で補液も行ったが、弛張熱は続き、発赤は大腿部まで広がり、足関節周囲の発赤・腫脹も増悪した。抗生剤をセファゾリンナトリウムとアミカシンに変更したが、腫脹は増悪し、水疱形成も伴うようになった。水疱内容液よりMRSAが検出され、経過より市中型MRSA軟部組織感染症と診断した。細菌検査ではCA-MRSAに特徴的な感受性を示した。アルベカシン硫酸塩を開始し、入院9日目からはMRSAに対してバンコマイシン塩酸塩を、Gram陰性桿菌に対してアンピシリン水和物/スルバクタムを使用した。その結果、解熱および炎症所見の改善が得られ、発赤・腫脹も改善したが、入院17日目より水疱部分の皮下組織の壊死が生じ、デブリドマンを連日行った。現在は皮膚や肉芽形成を待っている状況である。
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