発行日 2007年5月1日
Published Date 2007/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2007184485
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17歳男、左下腿痛を主訴とした。自転車走行中にバイクと衝突した。初診時、左下腿骨骨幹部開放骨折を認め、洗浄デブリドマン、直達牽引、抗生物質投与を行った。入院11日後にプレート固定術を行ったが、その翌日に発熱、呼吸苦、下痢、嘔吐が出現し、イミペネム・シラスタチンナトリウム配合(IPM/CS)を投与した。術後3日にはドレーン孔より排膿を認め、プレート抜去、創外固定術を行った。さらに、夜間血圧の低下、強い咽頭痛、心拍数増加、悪寒・戦慄を認めた。薬剤性アレルギーを疑いIPM/CS点滴を中止した。術後5日、創部の急激な壊死と排膿を認め、創を開放した。メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染およびその外毒素による高熱、ショック、組織壊死と考え、塩酸バンコマイシン(VCM)、メロペネム三水和物、グロブリン製剤点滴を開始した。術後6日目、創部の壊死がさらに進行し、骨折部を完全開放した。術後7日にTSST-1産生型MRSAを同定し、VCM、硫酸アルベカシンに変更した。約1週間後に解熱、局所の改善を認めた。骨折部は腐骨化が進み、腐骨部掻爬術を行った。その後も骨髄炎は完治せず、腐骨の全周性切除、Orthofix仮骨延長用創外固定器の設置を行った。約5ヵ月で移動骨片と遠位断端は接触した。
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