発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009332390
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73歳女。腹部膨満を主訴とした。小児頭大の腫瘤を触知し、単純X線正面像でL2は左椎弓根が消失し、左側が圧潰しており、側面像では椎体から椎弓根にかけて骨透亮像を認めた。MRIでは脊柱管内から椎体内、後腹膜腔へ進展した19×10.5×12cmの巨大な腫瘍を認めた。脊髄は腫瘍により右側へ圧迫されていた。CT骨条件で左椎弓根は消失、椎体にscallopingを認め、椎体には辺縁硬化像がみられた。以上より、L2神経より発生したダンベル型巨大神経鞘腫と診断した。背側から椎体内に浸潤した部分を針生検した結果、悪性所見はなかった。腫瘍が巨大すぎるため消化管の通過障害が生じ食事は全く摂食できず、低栄養状態で胃潰瘍からの出血もあるため手術困難と判断し、ドレーンを挿入して腫瘍内容物をドレナージすることとした。経皮的ドレナージを継続しながら、プロトンポンプ阻害薬を投与したところ、胃潰瘍は治癒し食事可能となった。約3ヵ月間経皮的ドレナージを継続し、全身状態の回復を待って腫瘍摘出術を施行した。腫瘍が大きく摘出に難渋したが、腫瘍を皮膜下に全摘出することができた。なお、L2神経根が腫瘍化し剥離不可能であったため、L2神経根を切離し、後側方・前方固定を行った。組織学的所見はAntoni分類A型とAntoni分類B型の部分が混在した神経鞘腫であった。術後1年で骨癒合は完成し、腫瘍の再発なく経過良好である。
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