発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2005090501
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33歳女.腹部腫瘤を主訴とした.2002年から主訴に気付き,近医で骨盤内腫瘍を指摘された.手術が施行されたが仙骨部の癒着が剥離できず,摘出は断念された.術中生検で仙骨部原発の神経鞘腫と診断された.画像所見等により,後腹膜仙骨部原発の神経鞘腫と診断し,手術を施行した.全体に癒着は軽度であったが,後腹膜仙骨部に一部強固な癒着がみられ原発部位と考えられた.摘出標本は,18×15×14cm,2300gの表面平滑白色腫瘍であった.病理組織所見で,紡錘型細胞が棚状に増殖し,細胞密度の高いantoni type Aと浮腫状のtype Bが混在していた.全体に細胞密度は低く,核異型等の悪性所見は認めなかった.腫瘍細胞はS-100蛋白陽性,CD34,c-kit,デスミン,α-SMAは陰性であったことから,良性の神経鞘腫と診断した.術後経過は良好である.組織の急速増大を伴ったことから,腫瘍の増殖能を調べるため,Ki-67による特殊免疫染色を施行した結果,Ki-67陽性核の陽性率は1.1%と低値を示した
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