発行日 2009年9月1日
Published Date 2009/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00764.2009332391
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54歳男。19年前に右肘の腫瘤に気付き他院で切除手術を受け、色素性絨毛結節性滑膜炎(PVNS)と診断された。術後2年頃から再び創周囲に腫瘤が出現し、次第に増大して運動時痛を伴うようになり当院紹介となった。初診時、右肘は全体に腫脹し、内側には前回の手術瘢痕と2個の大きな腫瘤を認め、屈曲は軽度制限され、最大屈曲時に疼痛を生じた。MRIでは肘関節内から皮下にかけて大きな腫瘤陰影を認め、T1強調画像で低信号、T2強調脂肪抑制画像で高信号と低信号の混在する所見を認めた。CTでは上腕骨遠位と尺骨近位に骨嚢腫像を認め、骨浸潤が疑われた。肘関節内外に及ぶびまん型のPVNSの再発と骨への浸潤を疑い手術を行い、内側皮下に黄褐色調の大きな腫瘤を認めた。腕尺関節部には暗赤色の滑膜が著明に増生しており、上腕骨肘頭窩は破壊され骨孔を形成していた。また、橈骨頭と尺骨近位部を取り巻くように黄白色の大小多数の腫瘤があり、肘頭骨切り面には骨内に浸潤する腫瘤を確認した。関節内外の病巣切除と骨内病巣掻爬を行い、切離翻転した肘頭を鋼線固定した。病理組織所見よりPVNSと確定診断した。術後肘頭部の骨癒合が遷延したが術後1年で癒合が得られ、疼痛、腫脹及び屈曲制限は消失し、術後5年の時点で再発所見は認めない。
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