発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017128013
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71歳男性。約2ヵ月続く腹部膨満感を主訴に近医を受診、半周性の上部直腸癌および全周性の下行結腸癌を認め、著者らの施設へ紹介となった。胸腹部造影CTでは上部直腸と下行結腸に腫瘤性病変を認め、横行結腸右側にも腫瘤性病変の存在が疑われた。初回大腸内視鏡検査では上部直腸に半周性2型腫瘍、下行結腸に全周性狭窄病変を認め、同病変にWallFlex Colonic Stentを留置した。病理学的には直腸病変はgroup 5高分化腺癌、下行結腸病変はgroup 4腺癌が強く疑われた。1週間後、更に細径大腸内視鏡にてステントより深部大腸の観察を行なったところ、横行結腸に内視鏡が通過しない全周性2型腫瘍が認められた。大腸内視鏡を入れ替えて再挿入後、WallFlex Colonic Stentを留置した。横行結腸の病変はgroup 5高分化腺癌と診断された。以後、3回目の内視鏡所見では3ヶ所の進行癌のほかに8ヶ所の腺腫性病変を認め、全てを切除範囲に含めるために口側の肝彎曲部腺腫性病変に点墨処置を行った。初回のステント留置から3週間後に横行結腸点墨部から下部直腸まで全ての病変を含む根治的大腸切除およびD3郭清術を行い、上行結腸には人工肛門を造設した。その結果、術後2年経過現在、転移や再発は認められていない。
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