発行日 2016年12月1日
Published Date 2016/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2017128012
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76歳女性。下腹部正中創に発赤と腫脹を認め、切開すると排膿が認められた。メッシュ感染に伴う難治性膿瘍として創洗浄、ドレナージ、抗生剤治療が行われたが難渋し、著者らの施設へ紹介となった。入院時、臍下2cmに3×5cm大の楕円形の皮膚欠損とメッシュの露出がみられた。腹部CTではメッシュの腹側に膿瘍形成を認め、 2層のメッシュ間に膿瘍が貯留していた。また、メッシュの左下腹部縁は折れ曲がって変形し、その先に器械吻合(FEEA)された小腸に連続する毛羽立ち像が確認され、小腸瘻の形成が疑われた。以上より、小腸皮膚瘻を伴う腹壁瘢痕ヘルニアメッシュ感染の診断で手術の施行となった。術中所見では皮膚瘻部は5mmの皮膚マージンをつけるように楔状に繰り抜き、メッシュと一塊にして切除した。小腸の内腔を確認するとFEEAのステープルラインが確認でき、吻合小腸も合せて切除した。術後は麻痺性腸閉塞の回復とリハビリテーションに時間を要したが、術後26日目に退院となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2016