発行日 2004年2月1日
Published Date 2004/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00393.2004170425
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73歳女.左肘頭骨折で入院中,大腸内視鏡検査を希望し,上行結腸と直腸の病変を指摘された.生検,注腸造影,画像所見により,上行結腸癌を併存した直腸肛門部悪性黒色腫と診断された.生検から28日後,強い希望で局所切除術を施行したが,術後の組織所見で遺残の可能性が高いと判断し,その24日後腹会陰式直腸切除術を施行した.局所切除術後の直腸には1cm大の再発腫瘍が3個認められ,リンパ節転移が確認された.再手術後の経過は順調で,補助療法施行後に退院した.退院2週間,再手術から2ヵ月足らずで体幹部・頸部への皮膚転移をきたし,組織学的に確認された.生検あるいは不完全な手術によって転移が促進された可能性がある.さらに多発肺転移も出現し,呼吸状態が急速に悪化し,再手術後3ヵ月で死亡した.重複癌として大腸・直腸癌を併存した報告は本邦では自験例は2例目である.両者に関連性はなく,偶然の合併と考えられた
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